また、「大手」ファームを志望されているそうですが、「大手」の定義は何でしょうか? 私は大手コンサルティング会社に行きたいと言う学生と話をしたことがありますが、それは社員数の多さだったことがあります。社員数が多ければそれだけサービスは細分化され、ずっと製薬業界だけ、ずっとサプライチェーンマネジメントだけというコンサルタントになる可能性もあります。
コンサルタントが出しやすい付加価値というのは、産業間の知見の移動か、地域間の知見の移動によるものです。たとえば前者は自動車業界で当たり前の手法をアパレル業界に持ち込むことであり、後者はノルウェーで当たり前のことを日本に持ち込むことによって付加価値を創出することです。そのため、コンサルタントは若いうちほどさまざまな業界とテーマに触れたほうが成長します。
ロールモデルなんてクソ食らえ
質問者の方にちゃんと質問に答えていないと怒られてしまうかもしれないのでお答えしますと、トップクラスのグローバルファームに私大文系や普通の大学出身者が入るのは困難です。どうしても入りたい場合は、ハーバードやスタンフォードなどの海外トップMBAに行ってから入りましょう。おカネがないなら奨学金を取りましょう。筆者は学歴ロンダリングに賛成です。なぜなら70%くらいの人間の能力に大した差はないのに、自分に張られたレッテル(学校名)でコンプレックスを持つのは時間の無駄だからです。
「そんなの無理」と思った場合、「トップ・コンサルに入りたい」という意思はその程度なのだと推察します。でもよいと思います。たかがビジネスの話です。”Street Smart”を標榜して、今すぐ起業してもよいでしょう。
エスタブリッシュメントになった場所に、アービトラージはありません。1980年代のジャパンマネー最強時代に外資系コンサルや投資銀行に行った人だけが、その後の利益を享受できたのです。その頃に入社した人の中には、学歴がなく日本の銀行に入れなかった人もいました。
出来上がった場所ではなくカオスを選びましょう、ロールモデルなんてクソ食らえです。筆者も「温室育ちの学歴エリートには負けないぞ」と思って頑張っています。おっさんになって思うことですが、いちばん難しいのは張られたレッテルや組織からも自由に生きて、「このフィールドならオレが一流」と心から自分に言えることです。まだ学生です、何でもできます。どうぞ楽しいビジネス人生を生きてください。
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