日本通信、三田会長がソフトバンクに吠えた 「孫正義社長の行動は矛盾している」

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四半期の売上高10億円が現在の日本通信の損益分岐点。ソフトバンクの回線を利用したサービスは、回線の接続料がドコモやKDDIより割高なことなどから、日本通信を除く事業者は敬遠している。

ソフトバンクユーザーも使える格安サービスを提供することができれば、損益分岐点は超えられると踏んでいた。ところが、11月に入ってもなお、ソフトバンクは回線接続を認めていない。「年末までに認められなければ、下方修正せざるをえない」と三田会長は危機感を募らせる。

やはり、業績はソフトバンク次第か?

ソフトバンクの回線を利用した個人向けMVNOが存在しないため、MVNOに乗り換える場合、ソフトバンクユーザーはどの通信事業者の回線でも端末を使えるようにする「SIMロック解除」をしなければならない。ほかの携帯会社のユーザーよりも面倒という点で「ソフトバンクユーザーは不公平な立場にある」と三田会長は強調する。

「ソフトバンクグループの孫正義社長は(すべての機器がインターネットにつながる)IoTに力を入れているが、IoTの基本はモバイル通信をオープンにすることにある。IoTを推進しておきながら、他社に回線を開放しないというのは矛盾しているのではないか」と憤懣やるかたない様子だった。

はたして年末までにソフトバンクの合意を取り付けることはできるのか。また、仮にサービスを開始できたとしても、ソフトバンクには低価格を武器に契約数を伸ばすサブブランド「ワイモバイル」がある。三田会長の思惑通り、ユーザーが日本通信のサービスに乗り換えるかどうかは定かではない。少なくとも、今期の日本通信の業績は「ソフトバンク次第」という点は間違いないだろう。

山田 雄一郎 東洋経済 記者

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やまだ ゆういちろう / Yuichiro Yamada

1994年慶応大学大学院商学研究科(計量経済学分野)修了、同年入社。1996年から記者。自動車部品・トラック、証券、消費者金融・リース、オフィス家具・建材、地銀、電子制御・電線、パチンコ・パチスロ、重電・総合電機、陸運・海運、石油元売り、化学繊維、通信、SI、造船・重工を担当。『月刊金融ビジネス』『会社四季報』『週刊東洋経済』の各編集部を経験。業界担当とは別にインサイダー事件、日本将棋連盟の不祥事、引越社の不当労働行為、医学部受験不正、検察庁、ゴーンショックを取材・執筆。『週刊東洋経済』編集部では「郵政民営化」「徹底解明ライブドア」「徹底解剖村上ファンド」「シェールガス革命」「サプリメント」「鬱」「認知症」「MBO」「ローランド」「減損の謎、IFRSの不可思議」「日本郵政株上場」「東芝危機」「村上、再び。」「村上強制調査」「ニケシュ電撃辞任」「保険に騙されるな」「保険の罠」の特集を企画・執筆。『トリックスター 村上ファンド4444億円の闇』は同期である山田雄大記者との共著。

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