日本通信、三田会長がソフトバンクに吠えた 「孫正義社長の行動は矛盾している」
NTTドコモなど、通信事業者の回線を借りて通信サービスを提供する「MVNO」。その草分け的存在である日本通信の三田聖二会長が、ソフトバンクにかみついている。
同社は2016年4~9月期の実績を11月8日に発表した。今上期の売上高は13億円、6億円の営業赤字だった。前上期は売上高23億円で1億円の営業赤字だったから、大幅な減収・赤字拡大である。個人向けを中心とした月額課金の通信サービスが、競争激化と積極的に拡販していないことで減少。MVNOから、MVNOを支援する「MVNE」への転換を進めているが、自社の通信サービスの減少を補うほどには成長していない。
「上期に6億円の赤字では、通期で営業益2億6000万円としている期初計画を達成するのは難しいのではないか」。11月9日の決算説明会で記者にそう問われると、三田会長は「ソフトバンクが接続を拒んだからだ。下方修正が必要になるかどうかはソフトバンク次第」と答えた。これはどういうことか。
ソフトバンク「協議は継続中だ」
つまりは、予定していたソフトバンクの回線を利用した格安スマホサービスを提供できないから、下方修正の恐れがあるということだ。日本通信は、6~7月頃にはソフトバンクへの接続が認められ、サービスが開始できるとの想定だった。「こちらの準備はすべて整っていた」(三田会長)。
日本通信は2015年8月7日にソフトバンクの携帯網への接続を申し入れ、協議を重ねてきた。ところが「接続を拒否された」として、今年9月29日、総務省に対し、ソフトバンクに接続をする命令を出すように申し立てている。
10年前の2006年にも、日本通信はNTTドコモに接続を申し入れ、断られた経緯がある。だが、翌2007年には総務大臣裁定を経てドコモと接続。これがMVNOによる格安SIMサービスの第1号となった。
三田会長はこの「総務大臣裁定」を盾に、「ソフトバンクなど通信業者は、接続を申し入れられたら断れない義務があるはずだ」と憤る。ソフトバンクは「拒んでいない。協議は継続中だ」との態度を貫いている。
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