そして、ギリシャが再び焦点に 景気・経済観測(欧州)

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トロイカの審査団がアテネに到着したのは6月11日と首相令の発表当日だ。審査団の到着に合わせて首相が閉鎖を決断したのは偶然ではないとの見方もある。ERT閉鎖を公的部門改革の突破口にしたいと考えたのかもしれない。

首相令は発行から40日以内に議会に提出し、提出から3カ月以内に採決を行わなくてはならない。サマラス首相が率いる中道右派の「新民主主義(ND)」の議席は125と、過半数(151議席以上)に満たない(図)。

法案可決には、連立を組む中道左派の「全ギリシャ社会主義運動(PASOK)」や穏健左派の「民主左派党(DIMAR)」の協力が不可欠となる。両党ともにERTの事業縮小の必要性を認めているが、今回の首相令に反対の意向を示しており、サマラス首相に閉鎖計画の撤回を求めている。

このように、連立内部の不協和音が高まっていることを受け、連立崩壊による議会の解散・総選挙を懸念する声も浮上している。政治的な緊張の高まりで再選挙が現実味を帯びる場合、反緊縮派やユーロ懐疑派の政党が一段と議席を伸ばす可能性が意識され、支援打ち切り懸念やユーロ離脱論が蒸し返す恐れが出てこよう。

次の選挙では極左や極右政党のさらなる躍進も

最近の政党別の支持率調査によれば、議会最大勢力で連立政権を率いるNDと、昨年5・6月の総選挙で躍進した反緊縮・反ユーロを掲げる野党第1党の「急進左派連合(SYRIZA)」の2党の支持率がそれぞれ29.5%、27.5%で、引き続き拮抗している。

総選挙後は現政権の政策運営への不満からSYRIZAがリードする調査が多かったが、支援再開後は支援条件の見直しなど支援提供国側の態度軟化もあり、NDが再びリードする調査が増えている。

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