そして、ギリシャが再び焦点に

景気・経済観測(欧州)

今年の民営化の目玉案件とされた国営ガス会社DEPAの入札は、当初ロシアの政府系大手ガス会社が関心を示したが、6月10日の期限までに応札はなく、最終的に買い手がつかなかった。

政府は年内に25億ユーロの民営化収入を計画しているが、DEPAの民営化でこのうち10億ユーロ程度を捻出する予定だった。入札失敗で今年の計画達成は困難となり、政府はEUやIMFなどに民営化計画の見直しを求めることを検討している。計画見直しが認められず、厳格な条件の履行を求められた場合、ギリシャは不足分の穴埋めに追加の歳出削減などを行う必要が出てくる。 

2014年の財政穴埋めを巡る支援提供国間の対立

また、2次支援の再開時に確定していなかった2014年の財政ギャップ(目標とする財政健全化の達成に必要な財政の過不足)をどのように穴埋めするかを巡って、ギリシャ政府や支援提供国の間で協議が進められているが、各国・各機関の見解の相違が表面化し始めている。一部報道によれば、IMFはEU諸国に追加の債務再編を求めているのに対して、ドイツ政府は国民の理解が得られないとして反対しているようだ。

ギリシャの政府債務の約8割はEUとIMFによる支援融資や欧州中央銀行(ECB)が保有するギリシャ国債で、さらなる債務再編には公的部門の関与(OSI)が不可欠で、支援提供国の政治決断が鍵を握っている。だが、最大の支援提供国のドイツは9月22日に連邦議会選挙を控えており、国民からの反発が予想される追加の債務軽減措置を受け入れることは難しい。

IMFは通常、四半期毎の融資(トランシェ)実行を判断するに当たって、12カ月先までの財政資金を確保できる目処が立っていることを条件としている。次回の融資実行を判断するに際して、IMFが2014年の財政ギャップを問題視した場合、選挙前の追加財政負担の議論見送りを求めるドイツ政府との確執から、IMFが支援を見送る恐れもある。

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