日本企業がカーブアウトを活用し始めた! 投資ファンドを使って事業を切り出し

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この点、日本企業を本質的に変えることは2、3年ではなかなかできない。米国企業は雇用の仕組みも含めて、構造的に変化に適応しやすいようにできており、社会も早い変化を受け入れている。ステークホルダーの関係も単純化されており、エクイティの合理性がすべてに優先している。しかし、日本はエクイティホルダー(株主)が必ずしも最大、最強ではない。ディールを組み立てるときも、会社を変えるときも、幅広いステークホルダーとの調整、合意が必要だ。

これは日本独特のカルチャーで、悪い面だけでなく、長期性、継続性という意味ではよい面もある。ファンドと考えなければいけないのは、欧米のように、エクイティマーケットに極度に力が収れんされている国と同じことをやると、あまりうまくいかないことだ。日本風の味付けをし、今の日本市場でいちばん効果的な方法を徹底していこうというのがわれわれの考え方だ。

中堅企業のポテンシャルが高い

――どういうセクター、会社にカーブアウトのポテンシャルがあるのでしょうか。

朝倉 われわれとしては、最近新聞に出ているような大きなディールよりは、中堅企業のカーブアウトを狙っていきたい。われわれの資金規模もあるが、事業再編ニーズのある分野がいっぱいある。たとえば、部品メーカーは、ディールの案件も数多く入ってくる。これは事業承継案件もあれば、カーブアウトもある。消費財メーカーもそう。

ニッチトップの、ブランドをしっかり持っているメーカー、企業規模も何千億円という会社でないが、特定の分野で非常に高いシェアを持っている会社に関心がある。われわれファンドも付加価値をいちばん提供しやすく、グローバルなニッチトップ企業はグローバルに闘っている会社が多いので、事業承継とは別にオーナーシップチェンジもあるし、事業ポートフォリオの入れ替えを割と積極的に考える会社が多い。

――日本企業において、ポートフォリオの入れ替えは簡単ではないようですが・・・。

朝倉 これはたいへん難しい。日本の場合は組織がいちばん最初にある。人の集団があって、それが会社の単位なので、それが組織として分離されてしまうことは、一般的にはかなり違和感がある。ただ最近、分離や新しいオーナーのもとに移ることで、新しい成長の可能性をうまく取り込んでいる会社も出ている。そういう成功事例がだんだん積み上がっている。

山田 徹也 東洋経済 記者

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やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

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