浜矩子教授はアベノミクスの本質を知らない マネックス証券 チーフ・エコノミスト村上尚己氏に聞く
――アベノミクスについては「賛成派」から、従来の日銀の金融政策などを支持する「慎重派」、さらには、単にバブルを起こしているだけなどとする「批判派」など、本当にさまざまですね。
たとえば、東洋経済オンラインでも、つい最近「アベノミクスが悲劇を引き起こす」というタイトルのインタビューがあった。同志社大学の浜矩子教授は、アベノミクスをセンセーショナルに論じていたが、どうしたいというのだろうか。
一般的な経済学の教えを踏まえれば、いま安倍政権が掲げるアベノミクスは、世界標準の政策パッケージというのが私の理解だ。それを「アホノミクス」と揶揄する浜教授の言説を、私は理解できない。
浜教授は、過去半年ほど続いている株高と、円高是正がもたらす経済への好影響を無視し、4月に国債市場で起きている金利の変動を指して、「アベノミクスの弊害であり、『国債神話』なるものが崩れる」と警鐘している。
しかし、景気回復が予想されれば、金利が多少上昇することは当然だ。名目金利が上がっているが、経済活動に本当に影響する実質金利は、かなり低い水準にとどまっており、黒田東彦日銀総裁の、一連の金融緩和政策は総じてうまくいっている。
――浜教授は、アベノミクスによって5つの悲劇が起こる可能性があるといっていますね。そのうちの一つは「デフレ下のバブル経済化が起きること」としています。
浜教授は、金融緩和の結果、株や不動産などの資産だけがバブルに沸き、アベノミクスで恩恵を受けるのは株や不動産を持っている、ごくごく一部の富裕層だけ、と指摘する。「最近の株高はバブルであり、一般の庶民は恩恵をほとんど受けられない」と喝破したいのだろう。だが、これは、野田佳彦前首相が、安倍現首相との討論で述べた発言と同じ、勘違いだ。
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