それでは、このような「二流の転職」を経験しないためには、どうしたらいいのか。仕事で自己実現を遂げている一流の人の共通点から、3つに絞って論じてみたいと思う。
「好き×得意×需要のあること」は何ですか?
【1】 「自分が楽しめること」「やりたいこと」を知っている
仕事で自己実現を果たしている人は、そもそも「自分が何を好きなのか」を知っているものだ。
以前、ウォーレン・バフェットがビル・ゲイツとともにワシントン大学で行った講演で、「自分が成功したのは、毎日やりたいことをやっているからだ」と断言していたものだが、「好きなこと」を知ることは自己実現への第一歩である。
「あなた、人生で何やりたい人なの?」と問われて、すぐに答えられるだろうか。「自分が何をやりたいのか」という、シンプル極まりない質問に答えられない人が9割を超えるのが悲しい現実ではないだろうか。
仮に「何がやりたいのか?」という自問にピンポイントで答えられなくても、自己実現の要素や方向性に関する、自己認識の深さが、一流の転職には大切なのである。
【2】 「自分が得意なこと」を知っている
一流の仕事選びにとって次に大切なのは、「自分が何をできるか」「何なら他人との競争に勝てるのか」を熟知していることだ。
当たり前の話だが、好きだからといって「苦手なこと」「自分がうまくできないこと」を仕事にしているようでは、それは単に「大迷惑な道楽者」である。好きだが他人がやったほうがよっぽどうまくできることを仕事にしてしまっては、自分も会社もお客も全員不幸になる。
結局のところ、転職で成功しようと思えば、「自分の強み」を正確に理解し、それをありがたがってくれる職場とのマッチングの精度を上げることが非常に大切になるのだ。
くれぐれも「好きだが不得意なこと」は趣味にとどめておき、「好き×得意」の交差点にキャリア上の自己実現を見いださなければならない。
【3】「社会的にニーズがあること」を知っている
最後に大切なのが、当たり前だが「社会的ニーズのあることを考える」ということである。
世の中には研究が好きで、他人よりうまくできるものの、出来上がった商品がまったく売れないという人や研究所は多数存在する。
私の友人に、ドイツ系シンガポール人で非常に優秀なエンジニアがいるが、彼が始めたベンチャーが、なんと「庭に入ってくる小動物に水鉄砲を発射して撃退する」機械だったのだ。この商品は案の定、1台も売れなかった。
これは、「好きで得意だろうが、市場性がなければその仕事で自己実現はできない」という、とても恥ずかしい一例といえるだろう。
仕事で自己実現をしようと思えば、「自分が好きなこと×得意なこと×市場性のあること」というシンプルだが最も重要な3つの問いに応えなければならない。
さもなければ、一度しかない人生をかけて、①得意だがつまらないことに邁進するか、②好きだが苦手なことで他人に迷惑をかけるか、はたまた③結果的に誰も買わない「小動物水鉄砲撃退マシーン」をつくってしまうという、それはそれは二流の、恥ずかしい人生に転落してしまうのである。
(イラスト:岸 潤一)
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