本木雅弘「ダメ男の主人公に共感するワケ」 シブがき隊時代を振り返る
おかげさまで人気は出ましたけど、正直、うれしいのと同時に“なんでこんな若造に熱狂するの”という戸惑いもあって。その後、徐々に人間が商品として消費されていくのを感じたんです。キャリアを積む中で、そういうもんだと思うようにもなりましたが」
歌手活動に未練はあるのだろうか。
「'90年代で歌うことをやめてしまったので、耳にかけるワイヤレスマイクを経験できないまま、歌手の時代が終わっちゃったんです。それがちょっと寂しいです(笑)。私たちが歌手デビューした時代はマイクにコードがつながっていて、それをロープのように使う振りつけもあったんですよ。若い世代は知らないね(笑)」
妻役の深津絵里さんと共演した感想を尋ねると、「深津さんとは私が結婚前、最後に出演したドラマ『最高の片思い』で恋人役を演じて以来、20年ぶりの共演。今回の夫婦役は20年連れ添っていても、ほぼ空虚な時間を過ごしたという設定なので、距離のあった時間がそのまま使えました。
ちなみに当時そのドラマの撮影中に、私が自分のカメラで深津さんを撮った写真を、たまたま今も持っていたんです。実は今回、映画の中で若き妻の写真として、それが使われています」
夫婦は「生きているうちの努力が肝心」
では、“素”に戻る瞬間を聞いてみると「家族の前」と即答する。'95年に内田裕也と樹木希林の娘で、エッセイストの内田也哉子と結婚。劇中では20年連れ添った夫婦仲はとうに冷め切っている設定だが、実生活の妻との仲は?
「普段、私は家にいるとき、“ほっといて〜”という空気を醸しているんですが、この作品を通して、生きているうちの努力が肝心だと思い、返事のボリュームを上げ、反応の種類も増やしました(笑)。
結局、夫婦って、半分以上は幻想だと思うんです。だけど、それなりに夫婦としてのキャリアができたので、もう替えはきかないだろうなと、妻にはあきらめてもらうしかありません(笑)。彼女は10個下なので、私が早めに退散したら、お次へどうぞという感じもありますが(笑)」
ふたりの間には、19歳の長男と17歳の長女、6歳の次男がいる。いったい、どんなパパぶりなのだろう。