束の間の無風も、永田町の外では一向に自民への逆風吹き止まず

束の間の無風も、永田町の外では一向に自民への逆風吹き止まず

塩田潮

 千鳥足の福田政権を評して、「酔っ払いはなかなか転ばないもんだよ」と言った長老政治家がいた。ここ2ヵ月、いつ倒れても不思議のない政権と酷評を浴びてきた福田首相だったが、5月半ばに与野党対決の風が止んだあたりから、やや息を吹き返した感がある。攻める民主党の弾切れ、種切れ、息切れにも救われ、千鳥足は消えた。
 だが、多くの自民党議員は「束の間の無風」と知っている。生温い空気の永田町から一歩外に出れば、自民党に対する逆風は一向に弱まっていないことを肌で感じるからだ。昨夏の参院選で落選したある前議員が「支持者に会うと、昔と違って、最近は政治や行政と無縁の普通の人が遠慮なしに自民党をこき下ろす。不信感と絶望感は想像以上だ。『自民党に明日はない』という福田首相の言葉は間違いではない」と漏らす。

 「自民党の明日」を支えていたのは、現在よりも将来の日本はよくなるという国民の期待であった。巨大財政赤字の下でも、曲がりなりに自民党は未来像の設計図と工程表を示し、推進する人材を取り揃えて選挙に臨んできた。過去に問題や失敗もあっても、自民党に任せるしかないと国民をその気にさせるものがあった。
 ところが、昨今は、未来像は嘘っぽい、設計図も工程表もでたらめ、人材も払底。「総劣化」を覆い隠せなくなった。「明日はない」と言われても反論できない。それでは民主党に明日があるのか。そこもまだ見えてこない。有権者は目を凝らして両党の「明日」を測っているところだろう。

 「天下分け目の戦い」の次期総選挙では、実績への評価や過去の失政に対する鉄槌よりも、政治家と政党がどんな「明日」を約束し、それをどうやって実現するかが勝負の決め手となるに違いない。
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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