トヨタとスズキ、「環境・安全・情報」で提携協議 競争激化に対応

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 10月12日、トヨタ自動車の豊田章男社長(写真左)とスズキの鈴木修会長(右)は、業務提携に向けた協議入りについて会見し、自動車業界で激化する技術開発競争で両社が生き抜くための連携であることを強調した。(2016年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 12日 ロイター] - トヨタ自動車<7203.T>の豊田章男社長とスズキ<7269.T>の鈴木修会長は12日、業務提携に向けた協議入りについて会見し、自動車業界で激化する技術開発競争で両社が生き抜くための連携であることを強調した。両社は今後、自動運転などの安全技術、環境対応車、インターネットでつながる車といった情報技術などでの協業の具体的な検討に入る。

両社は欧米に後れを取る規格づくり、インフラ整備などでの協力も模索する。豊田社長は「情報技術や環境問題などを考えると、1社でできることは限られている」と指摘。「変化に対応する力、これが今のトヨタが乗り越えなくてはいけない課題」と述べ、スズキを「変化に対して臨機応変に対応できる力が非常に長けている」と評価し、提携の意義を語った。

豊田社長はまた、出資を含めた提携内容の具体化は「全くこれから」で、「まだお見合いの段階。両社・自動車産業の発展にとって何ができるのか、これから考えたい」と話した。スズキがシェア首位のインド市場で連携する可能性については「スズキを活用するという気持ちは大変失礼と思う。その開拓精神は学ばせていただきたい」と述べた。

鈴木会長は「独立した企業として経営していく覚悟に変わりない」としつつ、「情報技術を中心に自動車産業をめぐる技術競争は急速に変化している」と指摘。国内では軽自動車、海外ではインドを中心に強みを持つスズキだが、こうした市場でも「従来から取り組んできた伝統的な自動車技術を磨いていくのみでは将来危うい」と語り、トヨタとの提携の必要性を強調。9月に豊田章一郎名誉会長に相談し、協議入りを打診したことも明かした。

トヨタは8月にスズキと軽自動車で競合するダイハツ工業を完全子会社化したばかり。ダイハツはトヨタの新興国市場での小型車事業を担い、軽のシェアはスズキを合わせると6割を超えるため、独占禁止法を踏まえて検討を進める。今回の提携は他社にも開かれており、他の自動車メーカーのみならず、IT分野など幅広い業種との連携につながる可能性もある。

 

(白木真紀)

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