トヨタ、提携戦略で克服すべき「上から目線」 ダイハツ「完全子会社化」の真の狙いとは
トヨタ自動車が約51%を出資するダイハツ工業の完全子会社化を決断した。両社が資本・業務提携した1967年から約49年、トヨタがダイハツ株の過半を取得し子会社化した1998年からでも約18年かけたことになる。
トヨタ・ダイハツに限らず、親会社と上場子会社という関係は難しい。親会社と子会社の利益は必ずしも両立しないからだ。まして上場している以上は少数株主に配慮しなければならない。これが完全子会社なら、親会社の戦略に沿って経営すればいいのでシンプルだ。理屈だけで考えれば、完全子会社化は当然の決断だが、トヨタはこれまで踏み切れずにいた。
ダイハツは1907年、大阪の産学関係者が発動機(エンジン)の国産化を目的に「発動機製造」として創立した名門だ。豊田自動織機で豊田喜一郎がエンジンの研究を始めたのは1930年、自動車部(後のトヨタ)の設置は1933年。いわば先輩に当たるダイハツの自主性を尊重してきた。完全子会社化をようやく決断したのは、トヨタとダイハツを取り巻く環境が大きく変化したからにほかならない。
新興国での失敗が決断を後押し
まず、トヨタ側の事情。2014年に初めてグローバル販売台数が1023万台と大台を達成したトヨタだが、2015年は1015万台、2016年計画も1011万台と足踏みが続く。米国でこそ好調だが、世界一の市場規模である中国、伸長著しいインドなど、主要な新興国で低シェアにとどまる。2010年にトヨタが開発した新興国専用車「エティオス」は、価格と品質のバランスを取ることが出来ずに大失敗した。
1月29日の会見で豊田章男社長は「小さい車の難しさを痛感した」、「トヨタは、中型車以上は得意だが、小型車ではそこまでの存在感を示せていない」と率直に振り返った。今後、新興国市場を攻略するには、軽で培った低コストの小型車開発・生産技術を持つダイハツと連携を深めていく必要があった。
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