トヨタ、提携戦略で克服すべき「上から目線」 ダイハツ「完全子会社化」の真の狙いとは
一方、ダイハツも単独路線では限界が見え始めていた。同社は販売台数の6割を国内、それも軽自動車に依存する。国内の自動車市場は長期縮小傾向が続いているが、税制優遇や商品性のアップにより、近年は軽のみ拡大。2014年には新車市場の4割を越えた。しかし、2015年の軽自動車税増税などで軽の成長は一服。軽に依存するダイハツは16年3月期に2期連続減益となる見込みだ。
現状、ダイハツの海外事業はインドネシアとマレーシアにほぼ限定される。インドネシアはトヨタからの生産受託も含めるとシェアは約5割、マレーシアでも合弁相手のプロドゥアのシェアは約3割とともにトップ。裏返せば、シェア拡大の余地は少ない。
さらに、インドネシアは2年連続で市場が縮小。資源安や現地通貨安が響き2016年もマイナス成長が見込まれる。成熟市場のマレーシアもいいところ横ばいだ。成長シナリオを描くには新たな海外市場の開拓が必須だが、ダイハツ単独ではリソースが足りない。トヨタとの連携強化は自然な成り行きだ。
「上から目線」と「自前主義」から決別できるか
トヨタによるダイハツの完全子会社化によって、技術戦略は初期段階から両社で共有する。技術面では、環境・安全など先進技術はトヨタが、低コスト化技術はダイハツが主体に進め、相互活用を図る。その上で「大切な小型車事業をダイハツにお任せする」(豊田社長)ことで、スピーディーかつ低コストに小型車を投入していくことを狙う。これが実行できれば、トヨタ、ダイハツともにこれまで以上に強くなる。ただし、これは「言うは易し、行うは難し」の典型であることも事実だ。
狙い通りの効果を得るには何が必要か――。豊田社長は「トヨタはアライアンスがもともと上手でない」と指摘した上で、その原因として「トヨタの上から目線」と「(相手の)下から目線」を挙げた。
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