トヨタ「bB」後継が切り崩し狙うスズキの牙城 新型車が年内発売、「ソリオ」とガチンコか
インテリアでは、インパネまわりはパッソ/ブーンと共通イメージが与えられている。そしてソリオにも採用されているフルフラットシートを、このモデルでも採用している。ソリオより運転席&助手席シートバックをよりフラットに後ろに倒すことができ、よりフルフラットなシートレイアウトを可能としている。また荷室容量を最大限にした場合、ソリオでは奥行きが足りずに26インチ自転車が1台しか収容できないところ、こちらでは2台収納することができるなど、とにかくソリオを強く意識したモデルとなっている。
想定ライバルはソリオのほか、ホンダの軽スーパーハイトワゴン「N-BOX」などとなる。ソリオは2016年1月から9月までの平均販売台数が約4160台、N-BOXは月販平均約1万5855台のヒット車。ソリオはいまのところ登録車ではライバルは存在しないオンリーワンモデル。N-BOXは、ホンダにソリオ的なモデルがあれば、本来そちらを選んでいたと想定されるユーザーも獲得している側面もありそうで、トヨタ/ダイハツの2ボックストールモデルは後発となるものの潜在需要を開拓しそうだ。
新車販売事情に詳しいA氏に聞くと、「すでにトヨタ系取り扱いディーラーの各店舗の代表者が、メーカーが主催する実車の商品説明会と試乗会へ行ってきたそうです。実車を見たセールスマンはもちろん、スタッフマニュアルの写真を見たセールスマンも含め『これはかなり売れそうだ』と見ているようですよ」とのこと。筆者も久しぶりに、ライバルをここまで強く意識した新規投入車種であることも含め、ソリオとの激しい販売競争を展開できるポテンシャルの高さを感じた。
懸念材料がないわけではない
ただし懸念材料がないわけではない。まずダイハツブランドモデルについては、軽スーパーハイトワゴンの「タント」と共食いする可能性が高いということだ。タントは現在N-BOXと軽自動車販売台数ナンバーワンを激しく争っている最中。共食いでの販売台数への影響は避けたいところではないだろうか。
ふたつ目は価格設定。最近のスズキ、特に登録車の価格設定は割安感の強いものとなっている。試しにソリオの最上級車(ハイブリッドMZ)にオプションをいくつかつけて試算したら、支払い総額が約215万円となった。パッソのX・Gパッケージで試算すると、約170万円になったことを考えると、2ボックストールモデルの価格設定はソリオと遜色のない割安感の強い価格設定となりそうである。
3つ目がソリオは売れ筋モデルがマイルドハイブリッド仕様になっている点。しかもストロングハイブリッドモデルの投入も計画されているという。トヨタの新型コンパクトカーはダイハツが開発を行なうので、ハイブリッドシステムはもともと存在しないし、トヨタのTHSはコストも含めて採用の現実性はないのだが、ソリオにあるハイブリッドがなく、ソリオにないターボエンジンが設定されているという違いが、販売にどのような影響を与えていくのかも興味のあるところである。
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