ヒラリー苦悩、「トランプ劣勢」が裏目に出た 多くの民主党員が投票に行かなくなる?
[ワシントン 10日 ロイター] - 米大統領選で民主党のヒラリー・クリントン候補の陣営にとっては新たなリスクが浮上しつつある。世論調査で共和党のドナルド・トランプ候補の劣勢が続けば、多くの民主党支持者が安心して実際の投票に行かなくなるという事態だ。
クリントン氏としては十分な得票を得られなければ、政策遂行に必要な政治的資源を欠いた状態で大統領に就任する形になる。最悪の場合は、落選もないとは言えない。
これは今までクリントン陣営が進めてきた選挙戦術と関係がある。つまりトランプ氏が当選した場合の危険性に多くの時間を費やし、クリントン氏自身の大統領としての魅力を具体的に提示してこなかったのだ。その結果、ミレニアル世代やマイノリティ、左派勢力など鍵となる有権者の間に、クリントン氏をぜひ当選させようという熱意は見当たらない。
クリントン支持者の多くは積極支持ではない
世論調査からは、クリントン氏を支持する有権者の多くは第一義的にはトランプ氏の当選阻止が目的であり、トランプ氏勝利の可能性が遠のいたと考えれば、もはや選挙に行く動機は失われる。
フロリダ大学の選挙専門家、マイケル・マクドナルド氏は「投票率は選挙戦の伯仲度と関係する。接戦になるほど投票率は高まる」と指摘した。
ロイター/イプソスの最新世論調査では、クリントン氏支持者の約半数がトランプ氏を大統領にさせないためだと答えた。クリントン氏の政策が良いからとしたのは36.5%、人柄を理由に挙げたのは12.6%しかいない。
民主党支持層の大半を占める若者やアフリカ系、中南米系、低所得層といった有権者を投票所に赴かせるには、候補者や争点の面でそれなりの動機づけが必要になる。典型的なのはオバマ大統領が初当選した2008年のケースだ。