上陸40年、「ノース・フェイス」売れ続ける理由 最近はトレラン市場で人気沸騰
今でこそTNFを中心としたアウトドア関連事業が好調で、2016年3月期まで8期連続で営業増益を続けているゴールドウインだが(今期はチャンピオン事業譲渡の関係で減益予想)、ほんの10年前は会社の存続が危ぶまれるほど厳しい状況にあった。2008年3月期には、営業損失20億円(純損失60億円)を計上し、3期連続の営業損失に転落。決算書には「継続企業の前提に関する重大な疑義」が注記された。
TNFなどアウトドア関連事業は好調だったものの、アスレチック関連事業と、1980〜90年代前半までは同社の主力事業だったスキーを中心とするウインター関連事業が不調に陥っており、にっちもさっちもいかない状況だった。
この時期は従来型の卸主体のビジネスモデルから、売場と在庫を自ら持つ自主管理型ビジネスへの転換を進めている最中でもあった。1980〜1990年代のスポーツアパレルの国内ビジネスの取引先は、アルペン、ゼビオ、ヒマラヤなどの大手スポーツ用品販売店が中心だった。
商品は買い取りではなく、消化仕入れ(商品をお店に置いてもらい、売れたぶんのみを仕入れとして計上する)が主体で、スキー・ブームなどで右肩上がりだった時代はそれでも良かったが、売れなくなると途端に在庫の山になってしまう問題を抱えていた。さらに、注文を受けて作る立場だったので、強化したい商品を思うように売場で展開できなかったり、売れ筋を追加しづらいという問題もあった。
最悪期に全社員で社員旅行に
「これまでも何度か危機を乗り越えてきましたが、55期(2006年3月期)の頃はもうダメなんじゃないかと思いました」と振り返る西田社長。そこで思いついたのが、全社員を集めた決起集会だった。
「新潟中越地震の後で、その復興の手助けを兼ねて、社員旅行という名目で2000人を超える全社員を集めました。会社がこのままだと続かないという危機感を社員全員で共有してほしかったし、年齢や部署を超えて本音で話し合う場を作りたかったのです。55期だったから『ゴー・ゴー・ゴールドウイン』というスローガンで(笑)。笑い事じゃなかったですが、それから現場の全員が頑張ってくれました」(西田社長)。
2009年3月期には、営業黒字を回復。そこからのV字回復は見事なもので、2012年3月期には復配を果たした。この時にもう一度、社員全員で集まり、皆で労をねぎらったという。
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