上陸40年、「ノース・フェイス」売れ続ける理由

最近はトレラン市場で人気沸騰

上陸40年近く経つTNFがいまだに顧客を魅了する理由の一つは、アウトドア商品で革新的な商品の開発を続けている一方で、ファッション性の強い商品や新規分野の開拓にも力を入れていることだ。「『TNF=山』と言うより、普段から着られる商品として認知が広がっている」と、事業統括本部の森光・ノース・フェイス事業部長は話す。

TNFが切り拓いたトレラン市場

中でも近年、売り上げ増に貢献しているのが、TNFがブームに火をつけたトレイルランニング関連商品だ。ゴールドウインがトレイルランニングのレース「TNF エンデュランスラン OSJ 箱根50K」を最初に開催したのは、2007年5月のこと。その時に記者会見に出席した私は「ずいぶんマイナーなスポーツを打ち出すんだな」といぶかしく思ったものだが、あれよあれよという間に人気スポーツに成長。2012年からは、富士山を一周する100マイル(168km)の日本最高峰のトレイルランニング・レース「ウルトラトレイル・マウントフジ」(UTMF)を主催しており、9月23日、24日に5回目の開催を無事に終えたばかりだ(雨天で規模を縮小した)。

初心者の参入は右肩上がりで増えており、そうした層が一気に必要な道具を揃える“トータル買い”が市場全体を押し上げているのはもちろん、ロードランニング以上に道具の消耗が激しいことから買い替え需要も定期的に見込める。今春夏でヒットしたのは、トレラン用に開発されたレインウェア「ストライクトレイルフーディ」。レインウェアとしてはTNF史上最軽量の110gの軽さで、レースでも練習でも街中でも使える点がユーザーに高く評価された。8月には、レース中にゼッケンが透けて見える透明のクリアカラーを追加。雨模様だった先日のUTMFでも多くの選手が着用しているのを確認できた。

ファッションブランドとしての存在感も増している。

TNFの原宿店には、外国人客も多く訪れる

ファッションの中心地である東京・原宿では、わずか100メートル範囲内に「TNF」、ファッション性の強い「TNFスタンダード」、女性に向けた「TNF3(マーチ)」、子供向けの「キッズ」の4店舗を集中出店し、ブランドの魅力を多角的に発信。TNFやTNFスタンダードで販売している「TNF パープル レーベル」は、世界各国の著名なセレクトショップでも販売されているラインで、アウトドア関連の趣味を持たない層にも高い人気を誇る。最近では、こうした日本でしか売っていない商品を求めて来店する外国人観光客も多い。

「米国のTNFは、日本の開発力にも一目置いている」と話す、森光事業部長

ゴールドウインは、大手アパレルがデザインやパターンの外注を進める一方で、デザイン、パターン、サンプル製作までの過程を社内で一貫して行える体制を維持。創業地の富山県には世界最先端の設備を備えた「ゴールドウインテクニカルセンター」を構えており、機能性とファッション性を両立させた、日本人のニーズに合った商品を開発できる環境が整っている。

本家の米TNFも、ゴールドウインの商品デザイン・開発力には一目置いている。「米国のアウトドア製品が質実剛健なのに対して、日本の商品は都市型でファッション性が高く、洗練されており、その点に興味を持っている」(森事業部長)。

「モノが売れない時代」と言われて久しいが、TNFには常に「次」を模索する姿勢がある。「すでに持っているモノは買わない、足りないモノはないという中で、欲しいものをいかに提案するか。TNFは新しいものを常に見せられていることが強みだ」と西田社長も話す。

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