三菱航空機の川井昭陽社長によれば、「リージョナル機で飛行試験前にこれだけのオーダー数が集まるのは画期的なこと」だという。しかも、大口契約を結んだスカイウェスト社は、毎日4000便を運航する米国最大の地域エアライン。その同社から選ばれたことで、業界内での注目度は一段と高まった。「米国に限らず、MRJに対するエアラインの関心は非常に強い。最低でもこれから出てくる需要の半分、シェア5割は取りたい」と川井社長は自信を見せる。
最大の難関は型式証明の取得
となると、期待は高まるばかりだが、MRJを世に送り出すには、まだまだ多くの課題が残されている。川井社長の言葉を借りれば、「開発作業は、初飛行まで行ってようやく5合目程度。そこからが本当のヤマ場」だ。
飛行試験で膨大なデータを集めたら、今度はそれを解析して、設計にフィードバックする作業が待っている。今までの開発作業はあくまで、さまざまな仮定数値を前提としたシミュレーションの世界。実際に機体を作って飛ばせば、地上では想定しえなかった多くの問題に直面する可能性がある。
問題点が出てくれば、当然、設計の見直しを強いられる。設計を見直せば、再び実機を使った検証作業も必要だ。こうした作業の末に、「次世代リージョナルジェット機」の名にふさわしい旅客機へと仕上げられるかどうか。MRJは高い性能をうたっているだけに、そのハードルもおのずと高い。
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