"真のチーム”がないから、日本は勝てない

日本のチームは、単なるグループでしかない?

そして、ハードウェアとしての機能は確かに抜群だが、使い勝手やニーズはあまり考慮されていないプロダクトが完成することが多い。次にソフトウェアのセクションに回され、ソフトウェアのエンジニアたちは疑問を感じながらも「しかたないな」とプログラムを書く。こうして出来上がった製品は、一言でいえば「妥協の塊」だ。

さらにマーケティングは「これはどういう趣旨の製品だ?」と思いながらパンフレットを作り、営業は文句を言いながらもノルマがあるから売っていく…。いささか極端に誇張してみたが、基本的には日本企業の商品はこうしたプロセスで作られることが多いのではないだろうか。

事実、私はこんな経験をしたことがある。以前、ある日本企業の「女性向け商品のラインナップ」の会議に参加したことがあるのだが、驚いたことに、そこにいたのは全員男性だった。最も重要なステークホルダーである女性が不在のまま商品のラインナップを考えようとしていたのである。

かく言う私も失敗の経験者だ。20年ほど前に、世界初のビデオ会議システムを商品化したことがある。自分で言うのも何だが、技術的には素晴らしい出来であり、間違いなくヒットすると確信していたのだが、結果は惨敗であった。

理由は簡単で、人はビデオ会議で自分や自分の部屋の映像を相手に送りたいと望んでいなかったのだ。映像が送られるのなら、女性なら化粧も必要になるし、部屋も掃除しなければならない。チームに女性を入れておけば、開発の初期段階で気づく話だ。

このように、たとえば商品開発をチームで行わないと、設計の段階でデザインや使い勝手や消費者のニーズや流行、適正価格などがほとんど考慮されないことになる。これでは、さまざまなアイディアを検討し融合するチャンスがない。だから日本メーカーはiPhoneを生み出すことができなかったのである。

次ページ勝敗の鍵は、単体の技術でなくシステム
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