サイゼリヤは、なぜ低価格を続けられるのか 堀埜一成社長が明かす「科学的アプローチ」

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――メニューではどんな工夫をしていますか。

最近で一番分かりやすいのはプロシュート(生ハム)。工場での加工法を変え、味のレベルを格段に上げた。今年4月にはランチハンバーグの品質を変えた。肉の比率を上げ、よりジューシーにしている。もちろんハンバーグの原価率は上がったが、在庫の回転率を上げたり、軽めのソースに変更したりするなどの工夫によって、全体としてはコストを下げた。

今期(2017年8月期)後半には、スパゲッティも大きく変える。クイックパスタの新業態「スパゲッティ マリアーノ」では誰でも安定して、おいしいパスタを作れるようになった。それをサイゼリヤでも提供していく。

次の成長を支える「マリアーノ」

――クイックパスタの「スパゲッティ マリアーノ」を立ち上げた理由とは。

国内のサイゼリヤは1500店(16年8月末1028店)まで増やす予定で、今やっていることがうまくいけば、2000店までは増やせると踏んでいる。ただ、どうしてもそこで成長が止まる。それ以降は、もっと客の来店頻度の高い業態にシフトしていく必要がある。それがファストフード、ファストカジュアルだ。

うちはパスタを早く出せる技術を持っているので、「マリアーノ」を7月に東京・茅場町に出した。ボイル時間や温度などを徹底的に研究し、テイクアウトしても20~30分は麺が伸びない。手応えを感じている。

――「マリアーノ」はどのくらいの規模まで育てたいですか。

クイックパスタ「スパゲッティ マリアーノ」

早期に500店にまで増やしたい。まず目標としたのが首都圏で500店だったが、「あれ、これ地方もいけるやん」と。当社は出店していない県が16ある。地方に出て行くために、既存のサイゼリヤでキッチンを小さくして必要な投資額を下げ、利益を維持する仕組みを作ってきた。ただ、新業態店でも地方に進出していけることに気づいた。テイクアウト専門店ならば最小5坪で済む。

――テイクアウト専門店も考えているのですか。

テイクアウトも可能

10月下旬に、「マリアーノ」の近くにスープパスタ店を出す。「マリアーノ」は商品提供が早いが、それでも2分くらいかかる。コーヒーのドリップマシーンを応用して、煮詰まらず、かつ待たずに提供できるスープパスタを作る。ものすごい早い。基本的には持ち帰り専用で、いちばんファストフードに近い業態かもしれない。グリッシーニなど、日本にはない欧州独自のパンも置く。新しい食文化を提案して、みなさんにいろんな選択肢や楽しみを知ってもらえればよいと思っている。

(写真:風間仁一郎)

常盤 有未 東洋経済 記者

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ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

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