サイゼリヤは、なぜ低価格を続けられるのか

堀埜一成社長が明かす「科学的アプローチ」

ほりの・いっせい●1957年富山県生まれ。81年京都大学大学院農学研究科修了、味の素入社。2000年サイゼリヤ入社。同社オーストラリア社長、商品企画部長などを経て、09年4月に創業者の正垣泰彦氏(現・会長)に代わり、2代目社長に就任(撮影:今井 康一)

そのために、われわれがまず取り組んだのは、「コストゾーン」といわれる部分の縮小。具体的にはキッチンの面積を半分にした。小型店舗は他社にもあるが、キッチンの占める面積は意外と大きい場合が多い。

4年前からキッチンの縮小に着手し、今はそのタイプの店が100店舗になった。それによって都心の狭小地など、今まで出せなかった地域にも出店できるようになった。無駄な裏方を小さくすることで、Fを上げ、Cを下げている。

――2016年8月期は情報システムに積極的に投資しました。

今、データウェアハウスを稼働させてデータを全部そろえ、どんな情報でも引き出せるところまでたどり着いた。次はそのデータを解析できるようにしていく。「おいしさ」など魅力機能と言われるものは、数値化できないとして、誰も手を出さなかった。僕はもともと生物学が専門なので、そうした実験はたくさんやってきている。

まずいものを出さない

たとえば味をデータ化できる。この場合、「うまい」という味覚は人によって千差万別なので、「まずい」ものをきちんと定義する。味覚と脳波との関連を研究し、味を数値化するわけ。そうすれば、まずい食事の提供を避けることができる。これらは客には見えない変化だが重要だ。今後は、会長(創業者の正垣泰彦会長)の脳波を見てみようと考えている。会長はたいへん敏感なので「嫌」というときに、いったいどういう脳波になるのかを知りたい。われわれはいずれ死ぬので、脳波を遺していこうと思っている(笑)。

――国内の既存店の改装にも注力しています。

客に見える変化もやっていこうと、改装を始めた。2016年8月期は国内店舗に20億円使う予定がまったく使えなかった。データウェアハウスを使い、どうやって着座率を上げるかなど実験しながらやっていたら、時間がかかってしまったからだ。その分、おそらく、他社に比べて面積あたりの着席数はものすごく高いはず。今期(2017年8月期)は改装を頑張ろうと思っている。

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