天気予報は、なぜいつも外れる気がするのか 「降水確率0%=雨が降らない」ではなかった

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もうひとつ、よくある勘違いが、気温についての予報です。「最高気温が○℃だったから、暑くなると思って半袖で外出したのに、予想以上に寒くて羽織ものがほしかった」という経験をしたことはありませんか? なんとなく、最高気温は昼、最低気温は夜というイメージがありますが、日によって最高気温と最低気温を記録する時間は違います。

たとえば、風の弱い晴れた日だと、最低気温は夜明け前で、最高気温は昼過ぎになることが多いです。これは、昼間は太陽からの熱が地面を暖め、夜になると地球から宇宙に向かって熱が放出されて、地面が冷えていくからです。

 風の強さも体感温度に影響

しかし、雲が空を覆っていると、太陽の熱が地面まで届きにくくなるため、昼になっても気温は上がりません。その一方で、夜は雲が地球にとっての布団のような役割を果たし、地球からの熱は宇宙に逃げにくくなるうえ、雲で跳ね返って再び地面を暖めるため、さほど気温は下がらないのです(これを温室効果といいます)。

すると、一日中雨で、北風が強い日などには、朝に最高気温を記録することもあるのです。ですから、気温についての予報は、テレビの天気予報の「最高気温は○℃、最低気温は○℃」という文字だけを見るのではなく、気象庁ホームページやスマホアプリなどにある時系列予報をチェックしたほうが、より日常生活に役立つはずです。時系列予報は、気温の推移がグラフになって表示される予報なので、外出している時間帯がどんな気温なのかがよくわかります。

・平成28年09月23日11時 発表の東京地方の時系列予報

〈出所:気象庁)

また、慣れてきたら風の強さもチェックしてみてください。風が強ければ、体感温度は下がるので、厚着にしておいたほうがいいからです。時系列予報をよく見ると、北風が吹けば気温が下がり、南風が吹けば気温が上がる傾向にあることもわかってくるはずです。

このように、天気予報の定義は意外と知られていないもの。知っておけば、「天気予報が外れた!」と憤慨する機会も随分と減り、雨などに事前に備えやすくなるはずです。

今井 明子 気象予報士・サイエンスライター

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いまい あきこ / Akiko Imai

2001年京都大学農学部卒。酒メーカー商品企画部、印刷会社営業職、編集プロダクションを経て、2012年からフリーに。子ども向けや一般向けにわかりやすく科学を解説する書籍や記事を多数執筆。著書に『気象の図鑑』(共著、技術評論社)、『異常気象と温暖化がわかる』(技術評論社)がある。ほか、医療・健康、教育、旅行分野も得意。気象予報士として、お天気教室や防災講座の講師も務める。

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