「若者離れ」する会社は、未来を軽視している 少数派ゆえに彼らの「交渉力」は強まっていく

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超少子高齢化社会に伴う若手労働力の減少は、さまざまな業界や企業における若手不足につながっています。2018年問題に象徴される大学の定員割れ現象をみても、今後の企業の若手人材の獲得競争は激しくなる一方でしょう。

言い換えれば、「労働力としての若者」における、総体の量的な意味での希少価値が上がり続けるということであり、雇用先として選ばれない業界や企業は、「中堅社員の後輩不足」や「それに伴う離職率増」など、組織の構成をこれまでどおりに保てなくなっていくおそれすら、あるといえます。

若者との関係性をいかにつくるかという問いは、決して「若者だけの問題」でも、「若者マーケティング従事者だけの問題」でもなく、実は何らかの組織の構成員である人すべてが当事者、といえるのではないでしょうか。

若手の「量の影響力」と「質の影響力」

組織における若手不足のしわ寄せは、「中堅社員の悲哀」だけではありません。何が起こっているのかわかりやすくするために、以下の図を作成しました。

『若者離れ 電通が考える未来のためのコミュニケーション術』(エムディエヌコーポレーション)p19.22より抜粋

左が1950年の日本の人口動態に、一般的な年功序列型の組織図をプロットしたものです。右が2015年のそれに、同じく組織図をプロットしたものです。年功序列という組織思想自体の賛否や良しあしについてはここでは触れませんが、その思想には「年長者になるにつれ、人数が少しずつ少なく構成されている組織」という前提があります。年長者は権限が大きい代わりに数が少なく、ひるがえって若手は権限が少なくとも数は多い。このパワーバランスの均衡が、意志決定の世代間の偏りを少なく保っていたのではないでしょうか。

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