「同業者と結婚」は退職や異動の理由になるか 上司に「どちらかが辞めろ」と言われたら?
社内の別部署の人よりも、社外の同業者との方が共有できることが多いと感じることはありませんか。その居心地の良さは、やがて恋愛に発展することもあります。しかし、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに投稿した女性の場合、同業者との結婚により、退職をしなければいけないと言われたそうです。
「結婚相手が同業者で、ライバル社です」という相談者。上司に結婚を報告したところ、「どちらかが辞めなければならないかもしれない」と言われたそうです。しかし「会社の情報などは共有は致しませんし、そのような会話になることもありません」として、会社を辞める気は全くないと言います。
同業他社の社員との結婚によって、退職しなければいけないのでしょうか。あるいは社内で配置転換を打診されたら、受け入れなければいけないのでしょうか。柴田幸正弁護士に話を聞きました。
退職を命じられても「無効」
一般的に、労働者は、営業上の秘密を保持すべき義務(「秘密保持義務」)を負うとされています。
労働者が秘密保持義務に違反したときは、就業規則に規定があれば、それに基づき、「懲戒処分」を受けたり、「損害賠償義務」(債務不履行あるいは不法行為に基づく)を使用者(会社)に対して負ったりすることになります。
しかし、婚約者が同業他社の従業員という理由だけで、秘密保持義務違反に問われるわけではありません。秘密保持義務違反の行為が生じるのはあくまで可能性に過ぎないからです。