9月の連邦議会選挙後も、ドイツはユーロの一員 独有力経済人に聞く欧州債務危機

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フランスは労働組合も強く、規制も多かった。第2次大戦以前は、こうした状態だったが、それでも、両国はうまくやってくることができた。協力してEUの基礎を構築した。世界的にみても、EUほど安定した国家間の同盟はない。そこには、さまざまな変化が起きても乗り越えようとする強い政治的な意志が働いている。

フランスのシラク大統領の時代までは、ドイツとの間で「暗黙の合意」があったように思う。ドイツは経済強国で、欧州にかかわるコストもある程度は支払うことを暗黙のうちに了解していた。これに対して、フランスはEU加盟国の中で政治的なリーダーシップを取っていく立場にあった。ところが、ユーロ危機以降はドイツが政治面でもユーロを救うという大義名分の下、「介入」を要請される場面が頻発。ドイツ国民にとっては心理的に受け入れることが難しい状況だが、これをなんとか上手に乗り切らなければならない。そのためには仏独両国で必要な統一された政治的アクションを取る必要がある。

独の主要政党はユーロ支援で一致

――債務危機への対処ではドイツがユーロ参加国で最も多額のコストを負担せざるをえません。9月のドイツの連邦議会選挙に向けて、南欧諸国などの救済反対の世論が高まる可能性はないのでしょうか。

選挙後も危機に陥った国に対してドイツがつなぎ融資などを行う姿勢に変わりはない。EUやユーロ参加国を支援し、通貨ユーロを守り続けるはずだ。
というのも、選挙後の連立の可能性が取りざたされているが、どのような組み合わせになっても、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)、社会民主党(SPD)、自由民主党(FDP)、緑の党の主要4政党はそろってユーロ支援を鮮明にしているからだ。

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