「核の先制不使用宣言」が見送りになった事情 オバマ大統領「核軍縮外交」の成果と課題

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核実験の禁止に関する決議は9月23日、国連安全保障理事会において全会一致で採択された。オバマ大統領は、この決議を拘束力のあるものとしたかったが、それにはロシアや中国が反対したので、決議はすべての国に対し核実験などの自制を求める内容で収まった。

核実験の禁止については長い歴史があり、空中での実験から地下実験まで段階的に禁止されてきた。すべての種類の実験禁止が条約で定められたのは1996年に締結された包括的核実験禁止条約(CTBT)だが、これは一部の国の批准が終わっていないため、いまだに発効しておらず、その早期発効は国際社会にとって課題になっている。

米国も議会の反対のため批准ができていない。政府と議会の考えが不一致のため政府が署名した条約を批准できないことは、残念ながら米国にはときどきあり、第一次大戦後、米国が自ら提唱した国際連盟に参加しなかったのは有名な故事だ。

ともかく、米議会が反対の姿勢を崩していない中で、オバマ大統領がCTBTの発効を促す決議の提案を行ったのは勇気ある行動であった。

核弾頭の削減は期待外れだとの批判も

オバマ大統領は、8年前の就任直後から核軍縮に取り組む強い姿勢を見せていた割には実際の軍縮、たとえば核弾頭の削減は期待外れだと批判されているが、米ロ関係の悪化により両国間の核削減交渉が進まなかったという事情なども考慮しなければならない。

9月17日付英ガーディアン紙によると、オバマ大統領は核弾頭の削減について現在検討中であるとも報道されている。オバマ大統領はやはり軍縮に熱心なのである。去る5月末に米国の大統領として初めて広島を訪れ、「広島と長崎で道徳的に目覚め」、「核のない世界」を追求していく考えをあらためて示したことは、あらためて核軍縮に積極的な姿勢を取る原動力になったと思われる。

一方、朝鮮半島では。北朝鮮が国際社会の反対を無視して今年すでに2回も核実験を行っている。さらなる核実験(第6回目となる)の危険もあるようであり、北朝鮮は核軍縮とは真逆の方向に向かっている。

これに対し韓国は、とくに今年初めの核実験(第4回目)以来、北朝鮮批判を顕著に強めており、朴槿恵大統領自らが北朝鮮批判の先頭に立っている。北朝鮮の核の脅威を最も深刻に受ける国として、北朝鮮による挑発的な行動に対して軍備を固めること、場合によっては軍備を増強すること、また、米軍と大規模な合同演習を行うことなども必要だろう。

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