「投資マンションにカモられた人」が見た地獄 勧められるがままに買ってはいけない
不動産会社は手順を心得ているから無駄なことはしない。早いうちになにかしらきっかけを作って相手の収入を探り出そうとする。どうやって探るのかといえば、いちばん手っ取り早いのが、その人の「源泉徴収票」を見ること。「自分はFP(ファイナンシャルプランナー)的なこともやっているので、税金や保険での出費を節約できるノウハウがあるから役に立てるかもしれない」など、源泉徴収票を持参させる。
源泉徴収票を見れば、収入はもちろん、会社の勤続年数や配偶者の有無、生命保険の加入状況などの個人情報が丸わかりだ。これらがわかれば借り入れ可能な金額も計算できるから、投資物件購入の可否判断も容易についてしまう。
この低金利時代に年利3%以上のローンを
婚活で不動産投資の営業ウーマンと知り合った30代男性のCさんは、勧められるがまま首都圏近郊に2300万円程でワンルームマンションを購入。そもそも相場より高く買わされ、賃料収入はサブリース契約で年に約90万円だった。
ところが厳密に計算してみると、赤字は年に20万円。10年持ち続ければ200万円の赤字となるから、まったく割に合わない。損切りしてでも、と言って売却した。彼はほっと胸をなでおろし、「心穏やかな生活が戻ってきた」と話をしていた。
投資物件を勧める不動産会社のセールストークは、将来の不安を突いて「30年後には年金代わりになる」と言う。しかし、今は新築できれいなマンションも30年後にどうなっているか。いま盛んに建て替えが進められている旧公団住宅の団地を思い浮かべるといいだろう。ひょっとしたら「価値がゼロ」になっているかもしれない。売るに売れず負債だけが残り、「将来の年金」どころではないし、修繕や建て替えなどでさらに持ち出しが増える可能性すらある。
また、いまはローン金利が低いので「借り得」に見えるが、将来も金利が上がらない保証はない。金利が上昇したら、ローンで大きな借り入れをしている人は支払いが厳しくなってしまうだろう。
マイナス金利の影響か、ある地方銀行は地元の資金需要が少ないために、貸し先をこうした投資用の不動産に貸し込んでいく。不動産業者にとってはいい「相棒」というわけだ。
しかも、この低金利時代に年利3%以上という尋常ではないローンを。物件の条件が悪いのでメガバンクは貸さないとわかっているからこそ、高金利で貸し込んでいるのだ。
銀行側のリスクヘッジは不動産が担保であり、借り入れした人の給与が担保になっている。しかも、高い金利ならば儲かる仕組みである。結局のところは、売った不動産屋とカネを貸した銀行が儲かるという構図が見えてくる。
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