急ぎすぎた「マック改革」超深層 「藤田田」全否定に、社員、FCは疲労困憊
だが、最大の目玉は「長時間営業」である。05年に「100円マック」のバリュー戦略とともに、営業時間の延長を実施。今年4月には「24時間営業の本格化」を打ち出した。
「7年間連続で既存店売り上げがマイナスだったところを、この2年で立て直した」。原田社長お得意のフレーズである。だが、勇ましい“原田ラッパ”とは裏腹に、その「改革」の現場を歩くと、まるで異なった様相が浮かび上がってくる。
24時間店は深夜喫茶化 店長が会社を訴えた
7月の深夜2時。6月1日から24時間営業に踏み切った池袋西口店。そこには異様な光景が広がっていた。窓際のテーブル席はほぼ満席。腰掛ける中高年男性は一様にソファに体を預け、向かいのイスに足を乗せて熟睡している。その数、17人。来店客30人の過半を占め、テーブルには決まったように、「100円マック」のSドリンクが並んでいた。「睡眠お断り」の注意書きこそあるが、店員が注意することもない。
同じく24時間営業の池袋東口店では深夜1時から店内清掃が始まった。お客が「サラダマック」をほおばる脇で、男性店員がテーブルの上に登り、モップで窓を磨き始める。洗剤がボトボトとテーブルにこぼれ落ちる。これでは食は進まない。
若者の街、渋谷で24時間営業を行うセンター街店はいっそう強烈だ。深夜3時、200の客席に来店客は10人強。10代の男性2人は持ち込んだペットボトル飲料を飲み干すと、イスを並べてゴロリと寝ころんだ。10代の女性2人もそろってテーブルに突っ伏して熟睡中だ。
24時間営業を行う3店とも格安の深夜喫茶そのものだ。だが、問題は店舗イメージの悪化だけにとどまらない。営業時間の延長は、社員の負担増に直結している。
昨年末、在勤19年の現役店長、高野廣志氏が会社を相手取り、未払い残業代の支払いを求める訴訟を起こした。思い余っての決断だった。
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