マイナス金利政策の敵「現金」は廃止すべきか 現金流通が多い日本に浮上した選択肢とは?

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少額の買い物に電子マネーを利用することは増えており、特にSuicaやPASMOなどの交通系のフェリカでは、クレジットカードと組み合わせて自動的に残高が補充されるオートチャージ機能のあるものがあって便利だ。催し物の際に、駅で切符を購入するために駅の券売機に長い行列ができるということもあまり見かけなくなった。

2014年4月に消費税率を8%に引き上げた際には、5%から8%という切りの悪い税率に変更されることで、1円単位のお釣りが増えて1円玉が不足すると見込まれた。政府は1円玉を増産して備えたが、実際には1円玉の流通量は大きく減少してしまった。JR東日本は、東京近郊のスイカ決済において1円単位で値上げしたが、きっぷを券売機で購入する場合には10円単位で変更した。これも原因の一つだろう。

経済規模に対して現金の流通が多い日本

日常生活で現金がどれくらい使われるかは、国によって大きな差がある。30年くらい前の米国ではスーパーのレジで小切手にサインしている姿をよく目にしたが、今ではまったく見かけなくなり、デビットカードの利用がほとんどだ。先進諸国の中では、日本とドイツが現金の利用が多い国で、ECBが500ユーロ札の廃止を決めた際には、ドイツでは廃止に否定的な意見が強かった。

経済規模に対する現金の比率を見ると、日本は20%程度にも上昇しており、米国や英国に比べて非常に高い。しかも1990年代以降、急増している。

米国で現金の利用が好まれない理由には、国際的に通用する米ドルは昔から偽札が多いこともあるだろう。米ドル紙幣の偽札といえば、北朝鮮製といわれる100ドルの偽札であるスーパーノートが有名だ。

海外旅行する際に日本の銀行でドル紙幣を入手すると、大体未使用の新札である。しかし高額な100ドルの新券による支払いは、観光地ではともかく街中の店ではいやな顔をされることもある。日常使われている20ドル札でも、未使用の状態で使うのではなく使う前にしわだらけにする方がよいと現地の友人に忠告を受けた。新札は2枚が張り付いてしまうことがあり、数え間違えしやすいということもあるが、友人は多くの人が受け取った実績のあるお札の方が安心だからだと言っていた。

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