"おいしさ"追求でロイヤルホストが復活 脱・低価格路線で客単価は過去最高へ
「自社の強み」見失う
何が低迷の原因だったのか。「競合の低価格攻勢に飲まれて、自社の強みを見失っていた」と矢崎は振り返る。合理化を追求する他社がセントラルキッチンで集中加工した食材を使っているのと違い、ロイヤルホストの場合は厨房にコックがいて、大半の料理を作っている。そのため売り上げを増やそうとメニュー数を増やせば、コックの対応が追いつかず調理や盛り付けに時間がかかってしまう。「料理が出てくるのが遅い」――そのことがさらに客数減を招き、売り上げが落ちるという悪循環に陥っていた。
11年1月にロイヤルホスト事業のトップに就任した矢崎は、3カ年計画を策定。11年を「ロイヤルホスト再生元年」として、まずロイヤル東日本(関東以東)、ロイヤル関西(関西、名古屋)、ロイヤル西日本(九州、広島、山口)と地域ごとに分かれていた事業会社を再編し、事業会社ロイヤルホストに集中。各社バラバラだった商品開発や人材育成の統一を図った。
最も重要なのはメニュー政策の見直しだ。グランドメニューの全面改定を年4回から1回に減らすことで、コックが調理や盛りつけに習熟できるようにした。メニューの変更回数が減った部分は、「家庭では作れないコックの味」をキャッチフレーズに看板メニューの商品力アップや、フェアメニューを年4回実施することで補うことにした。
特に黒毛和牛と黒豚を使った高品質な「黒×黒ハンバーグ」は09年9月の販売開始後、3カ月で100万食を売り上げる大ヒット商品となった。1号店オープンから40周年を迎えた11年には「黒×黒ハンバーグ」を全面に打ち出し、グラタンやシチューのセットメニューを投入、強烈なプロモーションをかけ、ロイヤルホストの復活を印象づけた。
12年は「基盤作りの1年」としてフェアメニューに力を入れた。昨年8月に実施した「イタリア料理フェア」では低温乾燥熟成したパスタを使い、同11月にはアンガス牛を使ったステーキフェアなど、「専門店に負けない商品を投入した」と矢崎は胸を張る。
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