「光」と「酸素」がもたらすモノ作り革命の正体

<動画>米カーボン社の最新3Dプリンタ

カリフォルニアにある3Dプリンティングの新興企業は、造形するために光と酸素を用い、自動車部品から医療器具まで、あらゆるモノの製造方法に革命を起こそうとしている。

映像をみてもわかりにくいかもしれないが、今や、3Dプリンティングはこのようにみえる。非常に繊細な形状が、べたべたとした液体のプールから成長しているように見えるのだ。

この会社の名前は、Carbon(カーボン)社。映像は同社が開発した3Dプリンタ「CLIP」のデモンストレーションだ。

Carbon社の製品管理部門長、カーク・フェルプス氏は次のように語る。

樹脂のプールからモノが育っていくかのようだ

「光と酸素の両方を同時にコントロールすることで、ひとつひとつ順を追ってゆっくり印刷していきます。そのため、部品がまるで生きているかのように液体から姿を現すのですが、これは面白い副次的なメリットのひとつといえるでしょう」

この液体はプラスチックの一種であるポリマー樹脂。何を印刷するかによって別々に配合された材料をCarbon社は用意している。例えば、自動車の外装には、耐熱性硬質樹脂を使用し、心臓用のステントのような医療機器には、柔らかく弾力があり生分解性樹脂を用いる。

この3Dプリンタでは光化学反応を慎重にコントロールする特別なソフトウェアを用いている。樹脂の液体プール内に照射する紫外線と酸素の化学反応を精密にコントロールしているのだ。樹脂は光によって硬化し、酸素によって液状に保たれる。プールの底には酸素が豊富にあるため液体の状態だが、物体が引き上げられるにつれて造形され、硬化するようになっている。

グーグル・ベンチャーズも出資

Carbon社は過去3年間でグーグル・ベンチャーズのような大手ベンチャーキャピタルから2億4000万ドル以上の資金を獲得した。また、フォード、BMW、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどの大手企業と開発提携を結び、この技術を前進させている。

Carbon社によれば、他のライバルと差をつけているのは印刷スピードであるとのこと。他社に比べて最大100倍の速度で印刷できるという。「当社がオンデマンド製造の素晴らしいツールを提供したら、製品が変化するのではなく、ビジネスが変化することを想像してみてください」(フェルプス氏)。

今のところ、3Dプリンティングは主にプロトタイプを制作するツールとして使われている。しかし、Carbon社が同社の技術によって耐久性のある製品を作り出せると証明すれば、モノ作りの方法は変わる。現在の業界標準である射出成形に代わる選択肢を与え、3Dプリンティングによるモノづくりの新しい時代を告げることになるだろう。

ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 就職四季報プラスワン
  • 仲人はミタ-婚活現場からのリアルボイス-
  • ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
三菱重工と日立 「統合」破談から<br>10年 製造立国の岐路

10年前に統合構想が破談になった三菱重工業と日立製作所。その後両社は対照的な道を歩み、2009年に伯仲していた時価総額は今や日立が大きく上回っています。本特集では明暗が分かれた三菱重工と日立を主軸に、製造立国・日本の生きる道を探りました。

東洋経済education×ICT