激安3Dプリンタで世界はどう変わるのか? 台湾XYZプリンティングが描く世界戦略

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 3Dプリンタ市場の成長が目覚ましい。米調査会社IDCによると、2013年に10億ドル強だった世界市場は、17年にはその3倍近くに上る27億ドルに達する見通しである。
 急成長する3Dプリンタ市場の中で、安さを武器に攻めているのが台湾のXYZプリンティングだ。3月に発売した「ダヴィンチ1.0」の価格は6万9800円と、個人向け3Dプリンタの中心価格帯が10万円であるのに比べてかなり安い。さらに11月には、一般消費者向けとしては世界初となる3Dスキャナ機能を搭載した3Dプリンタの複合機「ダヴィンチ1.0 AiO」を11万9800円で発売した。これにより、造形したい物体をスキャンし、3Dプリンタで“印刷”するという一連作業が簡単にできるようになる。
 XYZプリンティングの特徴的な点は、母体となっているのが世界3位のEMSメーカー、金宝グループの傘下である新金宝グループということだ。3Dプリンタ市場で勝ち抜くうえで、EMSメーカーの強みは何なのか。同社の成長戦略について新金宝グループCEO兼XYZプリンティングジャパン社長のサイモン・シェン氏に聞いた。

 

――XYZプリンティングが初めて3Dプリンタを発売してから約1年が経ちます。これまでの成果をどう見ていますか。

販売台数は世界全体でまだ多く見ても8000台程度だが、これからどんどん伸びていくと思っている。3Dプリンタの応用方法も色々出てきたし、販売地域も、最初は米国だけだったが、日本、欧州と広がりつつある。

 EMSだからこその強みがある

新金宝グループCEO兼XYZプリンティングジャパンのシェン社長

――これほど安く作れる理由は。

1つは、社内の垂直統合がある。われわれはEMSメーカーなので、部品が安く入手できる。生産工場ももともと自社にあるので、生産コストが非常に安価で済む。もう1つはノウハウがあることだ。EMSメーカーとしてインクジェットプリンタ、レーザープリンタなどの各種プリンタをこれまで15年間製造してきた。この基礎が3Dプリンタの開発・製造に生かされている。

――なぜ、EMSメーカーが3Dプリンタを始めたのですか。

きっかけは2年ほど前にさかのぼる。3Dプリンタの市場が立ち上がってきたとき、われわれも開発しようという話が持ち上がった。そこで、通常のプリンタを作っているメーカーに相談したところ、タイミングが早いと言われ断られた。しかし、新金宝グループの母体、金宝グループのロック・シュー社長が今参入するべきだと決断した結果、XYZプリンティングを設立して、自社で3Dプリンタを始めることになった。

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