クルマは日本を救えるか 日本経済の牽引役に期待がかかる
国内市場縮小が難題 海外展開は止まらない
体質改善を進めたところに米国市場が回復。さらに円安の追い風も受ける日本の自動車メーカーだが、課題は山積みだ。
おひざ元の日本市場は、足元こそ株高など明るい話題はあるものの、エコカー関連の補助金や減税に頼る構造は相変わらず。中長期的には漸減が避けられない。
外需依存をますます高めざるをえないが、そうなれば、為替に振り回される度合いはさらに拡大する。
為替については「影響を受けなくするためにも、消費地での生産を強化する」(伊東孝紳・ホンダ社長)というのが常道だろう。日産のカルロス・ゴーン社長も「円安が進んでも現地化の方向性は変わらない」と言い切る。
国内で生産し、輸出するクルマが減り、海外現地生産に置き換わるのは自然の流れだ。あとは、国内に残すべき規模をどう考えるか。300万台を残すというトヨタと、100万台を目安とするホンダや日産とでは、グローバル戦略の違いがある。
一方、グローバルな販売台数が少ない下位メーカーにとっては、海外での現地生産化に限界があるのも事実だ。国内拠点からの輸出を続けざるをえないが、そのためには高価格で売れるよう差別化が欠かせない。輸出比率がマツダと同水準ながら、利益率ははるかに上回る富士重工業は、日本企業には珍しいブランド戦略を発揮している。今回の特集では、日本の自動車産業の進むべき道を探るため、トヨタ、ホンダ、富士重工の3社の戦略を徹底検証した。
日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ社長)は、「自動車産業は日本のものづくりの代表選手として経済の中軸を担う」と自負する。輸出立国の2本柱の一方だった電機産業が凋落著しい中、自動車産業の役割はますます重くなっている。
「電機より商品サイクルが長い分、自動車ではサプライヤーとの親密な関係から技術革新が生まれやすい。そこが日本勢の強みだ」(JPモルガン証券の高橋耕平シニアアナリスト)。自動車産業は、ものづくり大国日本にとって、最後の砦になりつつある。
(週刊東洋経済2013年4月20日号)
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