クルマは日本を救えるか 日本経済の牽引役に期待がかかる
米国市場が急速に回復 国内は原価低減を徹底
実のところ、好調を支える要因は円安ばかりではない。大きいのは、米国新車販売の予想以上の回復だ。
リーマンショック後の09年に1040万台にまで急落した米国の自動車販売は、12年には1440万台に回復。金融緩和や住宅市場の改善などの追い風を受けて、13年には1500万台乗せがほぼ確実視されている。
11年にはトヨタがカムリ、12年には日産自動車がアルティマ、ホンダがアコードと、収益性の高い旗艦車種をモデルチェンジ。いずれも販売ランキング上位を占める。
東日本大震災やタイの洪水による供給制約もなくなった。それどころか、販売好調で北米工場は各社ともフル生産だ。あまりの繁忙ぶりに部品会社の対応が追いつかず、一部の工場では生産遅延すら起きた。
リーマンショック以降、国内の生産拠点で原価低減に邁進したことも、回復に大きく寄与している。
トヨタは大手3社の中では輸出比率が5割台と最も高く円高のダメージが大きい構造だが、国内では投資を抑え、固定費を削減しつつ生産を回復させた。その結果、2月の前期第3四半期決算時には「1ドル=79円でも単独決算で利益が出る体質になった」(伊地知隆彦専務役員)と宣言するまでになった。
輸出比率が7割と高く円高で経営危機に直面していたマツダも、山内孝社長が「1ドル=77円でも輸出で利益が出せる」と誇るプラットホームの開発を推進、その威力で新モデル導入効果が増幅されている。