日産の誤算、裏目に出た強気計画 中国、日本、米国で精彩欠く

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「第3四半期までは目標未達、第4四半期も販売台数は前年割れもありうる」──。

急速な円安進行や好調な販売で上方修正が相次ぐ自動車業界だが、日産自動車の田川丈二執行役員は第3四半期決算発表の席上、足元の厳しい状況を明らかにした。

日産の場合も、「円安効果で第4四半期だけで見ても500億円以上利益が上振れする可能性がある」(田川氏)にもかかわらず、業績上方修正は見送らざるをえなかった。

苦戦の大きな要因の一つが、躍進を期していた米国市場での誤算だ。米国全体の新車販売台数は2012年暦年で13.4%伸びたにもかかわらず、日産は9.5%増にとどまりシェアダウン。一方でトヨタ自動車が26.6%、ホンダは24%の伸びを記録した。両社は11年に震災やタイ洪水で不振だった面があるが、日系大手では日産の独り負けだ。

日産は12年度、中型セダン「アルティマ」、SUV「パスファインダー」、小型セダン「セントラ」をモデルチェンジ、販売攻勢をかける青写真だった。特に「アルティマ」は米国で最も売れ筋の乗用車カテゴリーで、日産にとっても最量販車種だ。

これらの新型モデルについて、通常2交代生産のところ3交代生産にするなど、一気に生産を立ち上げてシェア獲得に臨む構えだった。

ところがこの意欲的な計画が裏目に出てしまう。「高い目標を掲げて急激な増産を行った結果、部品会社との連携などで課題を抱え、生産に混乱を来してしまった」(田川氏)。しかも、昨年11月時点では、12年7~9月期まででほぼ混乱は収まった、との見方を示していたものの、結局「1月まで混乱が残った」(田川氏)と打ち明ける。

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