日産の誤算、裏目に出た強気計画 中国、日本、米国で精彩欠く

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部品メーカーから恨み節

部品会社への影響も甚大だ。系列最大手のカルソニックカンセイをはじめ、日産向けを主力とする部品会社は今期軒並み業績見通しの下方修正を繰り返している。各社は「かつてない短期間での新型車の大量生産立ち上げで、追随できなかった」と口をそろえる。

この結果、歩留まりの低下による材料ロスや手直し、残業、他工場からの部品輸送などが、部品会社の利益を圧迫している。「混乱のピークは過ぎたが、完全に収まるにはまだかかる」(部品会社幹部)。

生産コストアップだけではない。米国の自動車販売はディーラー在庫販売が基本のため、新型車投入当初のタマ不足は販売にも響いている。アルティマの立ち上げに手間取るうちに、9月にはホンダ「アコード」がモデルチェンジするなど、一段と激しい販売合戦に突入することになってしまった。

9月以降、市場全体が10%前後成長する中、日産の販売はマイナスに転じる月も増えている。挽回するため、販売費、特に値引き原資になる販売奨励金の積み増しを迫られている。当初はモデルチェンジ効果で奨励金の大幅な圧縮を狙っていたが、それも難しそうだ。

日産は、2011年に掲げた16年度までの中期計画において、2013~14年度の2年間で、米国では、世界初投入の新車種だけで9車種もの投入を計画している。2012年度を上回る野心的な計画だ。

強みの中国市場で思わぬ逆風に見舞われ、おひざ元・日本では売れ筋の小型ハイブリッド車と自前の軽自動車を持たず、精彩を欠く日産。そうした中で、米国市場は需要全体も堅調なだけに、ここでの取りこぼしは非常につらい。

部品会社からは「正直言ってついていくのがしんどい」という声も漏れる中、来年度以降、今年度の轍を踏むことは許されない。

週刊東洋経済2013年3月2日号

丸山 尚文 東洋経済 記者

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まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama

個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職

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