続・英語下手が英語圏で勝ち抜く策 MITの試行錯誤で見つけた、英語力の磨き方(下)

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だから、本稿で説明した「弱者の兵法」を、まずは日本語で実践してみることを勧めたい。

とりわけ最後に強調した、意識してたくさんの手本を聴き、読むことが本当に大事だ。

僕は文学作品を読むことを特に強く勧めたい。文学とは言葉の美術館である。もっとも卓越した、もっとも美しい、もっとも巧妙な言葉の手本がそこにあるからだ。

すぐに仕事に応用できる実用書ばかりに手が伸びてしまうのはわかる。しかし、楽器の練習にスケール・トレーニングが欠かせず、スポーツの練習に筋力トレーニングが欠かせないように、話したり書いたりするための練習の基礎は、文学を読むことであると思う。

信じられないだろうか。ならば例を挙げよう。

僕が慶応大学で研究指導をしていた学生の1人が、卒業に際し学科から表彰を受けた。120人の卒業生の中で最も優れた卒業論文を書いた3人のみに贈られる賞だ。彼は現代の理系の若者には珍しく、小説を多く読む文学少年だった。

僕自身も、小さな頃から宇宙だけでなく文学も好きだった。中学から電車通学だったので、その時間はいつも小説を読んでいた。現在も通勤時間に読むのは、論文でも実用書でもなく、小説である。

あなたがこの記事を最後まで読んでくれたということは、きっと話し、書く能力を高めたいという真摯な気持ちがあるからだろう。ならば、お節介かもしれないが、明日の通学や通勤の時間に、携帯電話は鞄にしまい、キオスクで文庫本を1冊買い求めて、ページをめくってみてはいかがだろうか。

<セミナーのお知らせ>

当連載の筆者である小野雅裕氏のセミナーを、4月22日(月)の19時より六本木のアカデミーヒルズで開催いたします。ぜひ皆様、奮ってお申し込みください。詳細はこちら

小野 雅裕 NASAジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory)技術者

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おの まさひろ

1982年大阪府生まれ。2005年東京大学工学部航空宇宙工学科卒業。2012年マサチューセッツ工科大学(MIT)航空宇宙工学科博士課程および同技術政策プログラム修士課程修了。2012年より慶應義塾大学理工学部助教。2013年より現職。火星ローバー・パーサヴィアランスの自動運転ソフトウェアの開発や地上管制に携わるほか、将来の宇宙探査機の自律化に向けたさまざまな研究を行なっている。阪神ファン。好物はたくあん。主な著書は、『宇宙を目指して海を渡る』(東洋経済新報社)。

ブログ: onomasahiro.net/
Twitter: @masahiro_ono

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