続・英語下手が英語圏で勝ち抜く策 MITの試行錯誤で見つけた、英語力の磨き方(下)

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弱者の兵法は王道の兵法

本稿で挙げた5つの「弱者の兵法」をおさらいしよう。

この5つ以外にも、本稿では紹介し切れなかった「兵法」が数多くある。それらについて僕が慶応大学で行った講演の動画とスライドをインターネットで閲覧できるので、興味のある方は参考にされたい。また、「文章の書き方」について、さらに数点の「兵法」を米国大学院学生会ニュースレター2013年1月号の記事に書いた。

さて、最後に僕が主張したいのは、これらの「弱者の兵法」が、日本人が日本語を話し、書くときにもそのまま応用できるということだ。

冒頭で野球の野村監督の例を出した。実は彼が現役時代に編み出した「弱者の兵法」とは、たとえば投手の癖から球種を読むといったような、現在のプロ野球選手ならば誰でも当たり前のように行っていることばかりだ。当時の選手の多くは勘とセンスに頼って野球をしていた。しかし、たとえ「強者」であっても、ちゃんと頭で考えて野球をするほうがより強くなるに決まっている。野村が提唱した「弱者の兵法」とは、実は「王道の兵法」だったのだ。

留学する前、僕は日本語において本記事に書いたようなことを意識することはなかった。日本語は母国語だから、勘とセンスに頼っていても大きな不自由はなかったからだ。しかし、渡米し、英語で話せ書けといわれると、そうはいかなかった。だから僕はアメリカ人たちとの競争に勝ち残るために、頭で考えて話し、書く、自分なりの方法論を確立させた。するとどうだろう、たとえ日本語であっても、同じ方法論を用いてちゃんと考えて話し、書くほうが、はるかに相手に伝わりやすく、はるかに相手の記憶に残りやすいということに気づいたのだ。

前回の記事に書いたように、多くの日本人にとって、英語が不得手である原因は国語力にある。つまり、英語で話したり書いたりするのが苦手な人は、そもそも日本語でも筋を立てて話したり書いたりするのが得意ではないケースが多い。理由は単純だ。考えて話したり書いたりしていないからだ。

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