山崎拓氏が振り返る「YKKトリオ」の真実

派閥抗争からの15年何が起きていたのか

そして、その前後の小泉氏の行動がまた圧巻だ。不信任案に同調するという言語道断の動きを見せた加藤氏に、小泉氏は当初、「俺なら不信任案に同調する」と話す。だが、その裏では国会を走り回り、森氏や野中広務幹事長など党幹部に、加藤氏の動向を伝えていたのだ。

乱がついえた直後、傷心の山崎氏は恒例の誕生日パーティーを開く。そこに姿を見せたのが、招待していなかった小泉氏だった。あっけにとられる山崎氏を前に、小泉氏はしゃあしゃあと言うのだ。

「YKKは友情と打算の二重奏だ」「皆さんは、私が友情でこの場に来たとお思いでしょうが、さにあらず打算で来たんですよ」

小泉氏の面目躍如である。山崎氏はこの場面を「あれは小泉の友情の表れ」という。

葬式一転、結婚式に

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「小泉はつぶした側なんだから、普通見捨てますよ。でも小泉はそうじゃなかった。俺が来た以上、自民党から追放させないよと。友情に厚いのは小泉のほうですよ。まるで葬式の中にぽっと生きているやつが現れて、結婚式になったみたいでしたよ」

加藤の乱のやけぼっくいはやがて、小泉氏が出馬した総裁選で火が付き、小泉政権へとつながるのである。「秘録」にはほかにも、小渕氏の意外な一面や、小泉政権初期の田中真紀子外相の更迭劇なども収められている。

安倍一強体制が長らく続く現在の自民党。山崎氏の目にはどう映るのか。

「政治家が小物になりましたね。戦後の政治で一時代をつくった『三角大福中』(三木武夫、田中角栄、大平正芳、福田赳夫、中曽根康弘各氏)は、みんな一世ですよ。けれども、二世三世が増え、小選挙区制になったこともあって、苦労せずに当選できるようになった」

政治にダイナミズムが復活する日は来るのだろうか。

(朝日新聞編集委員・秋山訓子)

※AERA 2016年9月19日号
 

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