「和牛と国産牛」本当の違いを知っていますか ブランド牛ですら明確な定義はない
・日本短角種
主に東北地方で肥育されている。肉質は赤身が多く柔らかい。南部牛にイギリスのショートホーン種を交配して生まれてきた。ほかの品種に比べ手間がかからず成長が早く、放牧に向いている。現在は北海道、岩手県、青森県、秋田県などで生産されている。
・無角和種
山口県阿武郡産の在来種とアバディーンアンガス種を交配して生まれてきた。肉質は赤身が多め。成長が早く歩留まりがいい。
この4品種間内で交配された牛が国内で流通する「和牛」のすべてである。
世界で唯一の血統管理「黒毛和種」の特徴
「血統×月齢×飼料」。これらの好条件がそろうとお肉がおいしくなるというのが、肉業界の定説だ。この血統という点において、黒毛和種はほかのどの品種にもない特徴がある。
黒毛和種は世界中の肉用牛の中でも珍しく、10ケタの「個体識別番号」と「血統書(登記書)によって、生産現場の情報(血統、管理、種牛の選定基準など)をたどる追跡可能性(トレーサビリティ)が確立されている品種である。
血統書を見れば祖先をたどれる上に、全国には黒毛和牛の種牛の登録機関がある。おいしいお肉を作り出すために、登録されている種牛の交配研究が何十年にもわたって日々続けられている。
これで品種の表示の謎は解けた。ただ、スーパーで売られている牛肉のパックのシールを見ると、さらに深掘りできることがある。品種の他に表示されている産地だ。「○○牛」などといったさらに詳しい産地などのシールを貼付されているものがあることに気付く。こうした産地を基軸にし、肩書きや付加価値がつけられた牛肉は「ブランド牛」と呼ばれる。
牛は、生まれてから生体になるまで、一般的には繁殖農家(仔牛専門)と肥育農家を経て出荷されるが、肥育農家は全国どこの繁殖農家からでも仔牛を買い付ける事ができる。一部の「ブランド」を除いて、産地の名前を冠されたブランド牛でも必ずしもその土地で生まれた牛だとは限らず、その牛が屠畜されるまで、一番長く育った土地の「ブランド」を背負うこととなるのだ。
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