前途多難な中国の行政改革 国の権限移譲進めるが、「安全運転」目立ちスピード不足
金融政策に関しても、大きな変化はみられない。全人代での各種発言や目標値を根拠に金融引き締めが強まるのではないかとの見方も出てはいる。例えば、中国人民銀行筋などからインフレ警戒感が表明されたり、消費者物価上昇率の目標が昨年の4%から3.5%に引き下げられたりしたことが、そうした見方の根拠とされている。また、2月18日以降、公開市場操作の中身が流動性の放出から吸収に変わったことを引き締め強化のサインとみる声もある。
しかし、上海銀行間取引金利(SHIBOR)の水準は以前とほぼ同水準で推移しており、金利が高めに誘導されているわけではない。利上げを避け、住宅投機の抑制等、問題となりそうな分野を部分的に引き締めるという、既往の対応が当面続けられる可能性が高い。
周小川氏が中銀総裁に留任
閣僚人事からも、新指導部が継続性に配慮したことがうかがえる。国務院所属の25の省庁のうち、新閣僚が就任したのは、わずか9省庁にすぎなった。なかでも継続性を強く印象付けたのが、中国人民銀行総裁の周小川氏の留任であった。同氏は昨年11月の第18回党大会で中央委員を外れていたうえ、今年1月に閣僚ポストの定年である65歳を迎えていたにもかかわらず留任となったからである。
世界経済の不透明性はまだ高い。中国経済に目を移しても「まだら模様」の様相を呈しており、住宅価格の上昇ペースが速まる一方で、景気の足腰には弱さもみられる。こうした難局を乗り切るうえで、政策・人事の継続性が重視されたとしても不思議ではない。
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