さよならプランタン銀座、改装・再出発の狙い 約30億円かけ「マロニエゲート銀座」へ

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2017年以降の「マロニエゲート銀座」のイメージ図

同社の導き出した1つの解が、かつての成功モデルであったOL向けファッションから脱却することだった。従来8割程度を占めていた衣料品の売り上げ構成比を5割にまで下げ、代わりに化粧品やカバンなど雑貨の比率を5割まで上げる。

さらに、同社が「おしゃれママ」と定義する専業主婦層もターゲットに加え、専用フロアの4階にはベビーカーのまま入れる試着室を完備する。近年増加している「コト消費」への対応として、地下2階にヨガなどのイベントができる広場やイートインスペースをつくる計画だ。

運営形態も現在の百貨店型からの脱却を進める。同社の売り上げの約8割を占めるのは、店内のブランドが在庫を持ち、販売と同時にプランタン銀座側に売り上げが立つ「消化仕入れ」方式だが、今後はショッピングセンターなどが採用する、賃料収入をベースとしたテナント型へのシフトを進める。

これにより、高単価の衣料品を圧縮して安い雑貨を増やすといった品ぞろえへの転換を進めても、賃料収入による安定した経営が期待できるというわけだ。テナント型へのシフトにより店頭販売員は大幅に削減されるが、現時点では雇用は維持し、経理や総務といった間接部門に異動させる方針だという。

ニトリが2フロアへ大幅増床

現在6階に入居するニトリは大幅に増床する。出店当初は成功をいぶかしむ声もあったニトリの銀座出店は、ふたを開けて見れば「初年度売上高は計画の2倍以上で、現在は開店時よりさらに伸びている」(笹岡社長)。このため2017年3月からは5階と6階の2フロアで、品ぞろえを拡充して営業する予定だ。現在7階に入居しているユニクロは、改装後も7階での営業を続ける。

プランタン銀座の伊藤雅彦店長は「銀座という立地にありながら、親しみやすい店にしていきたい」と熱を込めて語る。OLのための百貨店は若者から主婦まで取り込み、実質的なテナントビルへと変貌するが、新たな「銀ブラ」の名所となることはできるのだろうか。

印南 志帆 東洋経済 記者

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いんなみ しほ / Shiho Innami

早稲田大学大学院卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者、東洋経済オンライン編集部、電機、ゲーム業界担当記者などを経て、現在は『週刊東洋経済』や東洋経済オンラインの編集を担当。過去に手がけた特集に「会社とジェンダー」「ソニー 掛け算の経営」「EV産業革命」などがある。保育・介護業界の担当記者。大学時代に日本古代史を研究していたことから歴史は大好物。1児の親。

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