さよならプランタン銀座、改装・再出発の狙い 約30億円かけ「マロニエゲート銀座」へ
ファッションに多額のおカネをつぎ込んだOLの消費は大きく変容。売り上げの約8割を占める婦人服は、2000年代の後半から顕著な落ち込みを始め、今も下げ止まらない。
「昔は、ファッション誌が発売されると翌日の開店前には行列ができたものなのに、今やその影響力は弱まり、『流行している服』というものがわかりにくくなってしまった」と笹岡社長は苦悶の表情を見せる。ダイエー傘下を離れてからの売上高のピークは2006年2月期の250億円だが、直近の2016年2月期の売上高は4割減の150億円まで落ち込んでいる。
競合の出店も相次いだ。徒歩数分の距離にある有楽町エリアで、2007年にマルイ、2011年にルミネが、ともにOL層をターゲットとした店を出した。結果、「当店がターゲットとしてきた25~30歳女性の客数や買い上げ単価が、ほかの顧客層と比べ最も大きく下落している」(笹岡社長)という状況に陥ってしまった。
ユニクロやニトリを誘致したが…
銀座をよく訪れるという20代の若年女性は、「今はカジュアルな服がはやっていて、働いているときでもコンサバファッションだと堅苦しいと感じる。(そういうコンサバファッションが中心の)プランタンの売り場は、全体が時代遅れに見える」と語る。
こうしたニーズの変化を受け、2012年にユニクロの女性専門店をテナントとして誘致。2015年には郊外を中心に展開してきた家具量販店、ニトリも入居した。
ところが、客層の幅を広げたことで、仏プランタン社との溝は深まってしまった。「仏プランタン社はハイエンドな品ぞろえを要求していたが、銀座エリアには三越や松屋など、高級品の品ぞろえでは世界有数の旗艦店がすでにたくさんある。当店のような小さな店が同じ土俵では戦えない、ということで、たもとを分かつことになった」(笹岡社長)。
世界に轟く「プランタン」のブランドを失い、「マロニエゲート」の一部に吸収される同店は、今後どのように生き残りをかけていくのだろうか。当初構想していた、訪日観光客をターゲットとした改装計画も、現在の“爆買い”の落ち込みを前にしては現実的ではなくなり、今年になって変更を迫られた模様だ。
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