コーヒーに全てを捧ぐ男のこだわりと寄り道 「至高の一杯」の裏には妥協のない努力がある
――いよいよ、コーヒーハンターとして独立しようと思われたのは。
川島氏:やはり「コーヒーのためにできることは、すべてやる」と考えた結果、畑の選別から栽培・収穫、そして精選加工、冒頭でお話しした輸送、保管、焙煎、包装までを一括して独自の基準で、一切の妥協なく、自らやることで、新しいコーヒーカルチャーを生み出したいと思ったからでした。
そうして、2008年、独立してミカフェートを立ち上げました。
至高の一杯を届けるために込められた想い
川島氏:ミカフェート(Mi Cafeto)、スペイン語で"私のコーヒーの樹"を意味します。この名前には、お客様ひとりひとりに"私の"と思っていただけるコーヒーの樹を、一本でも多く育てようという熱い想いが込められています。
それは、私が探しまわって見つけた、選ばれたコーヒーの果実を育てる特別な農園に立つ、誇り高き一本の樹なのです。世界中の生産者とコーヒーを愛する人々を結ぶ、至高の一杯を届けたいという想いで、私をはじめスタッフ皆で取り組んでいます。
私はコーヒーを「フルーツである」と言い、またよくワインとも比較するのですが、70年代、私が日本を出た頃は、コーヒー業界が賑わいを見せる一方で、ワイン業界はデザートワインが主流で、レベルも高いものではありませんでした。
ところがその後のワイン業界は、産地、品種、高度と明確に分けられ、どんどん情報公開されて今の賑わいが作られました。
一方のコーヒー業界は、もっともCSRがしやすい世界だと思うのですが、それが不十分なままでした。まだまだ伝えきれていないコーヒーの魅力はたくさんあり、私がやるべきこともまだまだたくさんあると思っています。