ドル円は再び「1ドル120円」へ向かうのか 「ジャクソンホール」は相場の転換点に?
一方、米国サイドだけでなく日本サイドも、同じく9月21日に日銀金融政策決定会合があり、「総括的検証」発表と、重大局面となる。この場で、どのような「総括」が発表となるのか、要注目だ。
円高に進む「日銀の全面的な反省」はあり得ない
まず、もっともあり得なさそうなのは、「全面的反省」であり、これまでの量的質的緩和に意味がなかったと白旗を上げることである。私自身は、量の拡大に何の意味もないという立場ではあるが、だからと言ってこのタイミングで白旗をあげてもらっても困る。一気に円高へと突き進み、デフレ経済へと逆戻りだ。
逆に最も有り得そうなのは、ジャクソンホールにおける黒田総裁発言と同様な発表だろう。すなわち、これまでの金融政策は大いに有効であり、インフレ期待が低下しているのは原油価格低下による一時的なもの、量においても、質においても、またマイナス金利幅においても、まだまだ拡大できると表明するパターンである。
それは、全く反省のない言明であり、違和感があるが、実際問題として、そのような発言しか出来ないのではないだろうか。9月5日に黒田総裁、8日に中曽副総裁の講演があるので、この2つの講演では、9月の「総括」がどのようになるのか、それを占う大きなヒントとなるだろう。
「総括」の中身、そして9月21日にどのような政策を採るか、それが円相場を占う意味で大きい。しかし、日銀にとって有利なことには、これまでなら、どのような政策を採ったとしても評価されず、厳しい批判にさらされたが、今回は米国が明確に利上げ路線に舵を切っているところなので、大した内容でなくても、「追加のドル円買い材料」と評価される可能性が高い。
また、現状の金融政策はほぼ限界に近いとはいえ、今の政策を続けることの累積的効果というものを、市場は過小評価している可能性がある。このまま行けば、自動的に日銀は日本国債の全てをほぼ買い切ってしまうことになるが、それはどこからどう見ても、事実上のヘリコプターマネーだ。また、ETFの大量購入も、このまま続けていけば、似たような弊害を生ずる。マイナス金利は金融界への負のインパクトは大きいが、あくまで円を安くする手段として、ますます深掘りしていく可能性がある。
とにかく、円安にしなければインフレ率も上がらないし、この国の未来もないと考えている日銀幹部は多いだろう。1ドル125.86円のドルの高値からBREXIT後の安値98.80円まで27円円高へと調整した。これで終わりなのかどうかわからないし、市場には経常収支の黒字、期待インフレ率の低下を理由にさらなる円高予想も強い。
だが、米金融政策がさらに引き締め方向に踏み込むことが明確になりつつあり、このジャクソンホールが円安トレンドへの回帰のきっかけとなるかもしれない。
そもそも、短期的、中期的にもう少し円高に振れたとしても、長期的には、政府負債が膨らみ続けることで間違いなく大幅な円安になるはずだ。明確なきっかけ、理由がなくても、円相場はどこかで反転する。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら