米国に「9月の利上げ」を遅らせる理由はない イエレン議長講演は強引に解釈されるだろう

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イエレンおよび他のFRBのボードメンバーたちは、投資家に対してメッセージを出してくるだろう。投資家たちが自分勝手に利上げは遠いと解釈すればするほど、利上げは近い、具体的には9月の利上げの可能性を示唆する。あるいは直接的に言及する講演を行うだろう。その度に市場は動く。

投資家たちは、確信犯的に利上げは遠いという解釈を表明しながら、実際にはポジション調整を行い、利上げに備えていくであろう。したがって、今後の為替、債券、株式の相場は乱高下の始まりとなり、8月はまさに嵐の前の静けさであった、ということになるであろう。

以上が、私の個人的予測である。この予測が当たるかどうかはわからないが、市場の動きは現実と投資家の思惑の綱引きで行われる、というのが真理であり、今回のイベントを通じた局面でも、それを実証することになるであろう。

Brexit(ブレグジット)との大きな違い

ただ、ここで難しいのは、前述の二つのポイントが相互に独立していないことである。投資家の思惑と現実とが独立していないのだ。それが、イギリス国民投票Brexit(ブレグジット、英国のEU離脱)との最大の違いだ。

Brexitの場合は、投資家の思惑が国民投票の結果に影響を与えることはできなかった。開票が始まるやいなやポンド高、株高へ振ったように、自分たちの都合の良いように残留シナリオへと相場を動かすことは出来た。しかし、投票結果の現実は動かせなかった。むしろ、影響があるとすれば逆だった。

キャメロン、IMFのエリートたち、EU官僚たちも離脱はばかばかしいといい、市場関係者もそんなばかげたシナリオは結局実現しないと言っていた。要は、低所得者、下級層、大衆も最後にはわかって残留となる、われわれ支配者の思い通りにならないわけがない、というその態度が、彼らを反乱へと動員したのである。

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