翔太さんのスマホを見つけたのは、オマットさんというジャカルタ南部にある電車区に勤務する技師。オマットさんによると、車両の月次検査(マンスリーメンテナンス)の際、座席のシートを外したところ、翔太さんのスマホと学生証がごろっと出てきたという。背もたれとクッションの間の隙間に落ちてしまっていたので、誰も存在に気がつかないまま日本から車両とともにジャカルタへの船に乗ってしまったわけだ。
この車両は前述の「南武線→海外譲渡」というプレートが付けられた、KCJ向け最終編成の一部だったことがその後の調査で分かっている。翔太さんがスマホを落としたのは「12月5日の始発」だったのだが、その翌日、車掌が「お忘れ物なきよう、思い出とともにお持ち帰りを」とアナウンスする間、人知れずシートの下に隠れていたのはなんとも皮肉なことだ。
ツイッターでつぶやいたところ…
オマットさんはすぐさま自分のツイッターに、発見したスマホと学生証の写真をアップした。偶然にも「日本の撮り鉄さんたち」との交流もあったことから、たまたまこのツイートが日本人の目に触れることになった。
ジャカルタでの駐在経験を持ち、撮り鉄の趣味も持つ浪井淳一さんが、そのメッセージを見つけ翔太さんが通う学校に確認するとともに、オマットさんに状況を説明。最終的にオマットさん自身が翔太さんにメッセージを送ったのだという。
オマットさんの日本びいきはKCJ社内でも有名で、彼が205系車両をモチーフにデザインしたオリジナルTシャツはいまや保守技師たちの制服代わりに使われている。
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