スマホの在り処を確認した翔太さんは当初、郵送による回収を目指したという。ところが、「わざわざ拾ったものから情報を基に調べたうえで連絡してくれたオマットさんがどんな人か気になるのと同時に、インドネシアから携帯を送ることは現地の人にも容易ではないらしい」(翔太さんのFacebook書き込みより)ということで、この夏休みに自らジャカルタへ赴いた。
渡航前のやりとりでは、お互いがネット上の自動翻訳サイトなどを駆使しコミュニケーション。現地では「お互い言葉もうまく通じないのに、案内をしてくれたり、自作のTシャツをくれたり本当にいたれりつくせり」と、存分にインドネシアを堪能したようだ。
改善が進むジャカルタの鉄道事情
KCJの電車について翔太さんは、「確かに外見も車内も日本と全く同じで驚いたが、何度も止まってなかなか先に進まないのがインドネシアっぽいのかな」と体験を語る。まさにこの「何度も止まる」のが目下のKCJにとっての大きな課題のようだ。前田さんによると、「経営陣は短かめの編成をたくさん走らせたほうがより大量の乗客を運べると思っていた。逆に編成を長大化し列車間隔を広げたほうが安定した運用につながる」と調整を進めているという。
「バイクや自家用車のほうがドア toドアの移動ができて便利」と固く信じる市民が多いジャカルタでは、これまで公共交通機関の利用が進まなかった。ところがKCJでは、前田さんをはじめ現地技師らの努力もあって、車両故障や遅延が減少し、利用客数も右肩上がりだ。翔太さんのスマホを見つけ出した「日本流の車両メンテナンス技術」は、インドネシアの地で着実に根を下ろしている。
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