所得減でも、それ以上に物価下落なら生活は向上
実際に、18世紀に産業革命が起こると、モノの供給が過剰になりデフレが西欧社会にまん延していったのですが、人々の生活水準は、むしろ飛躍的に上昇していったのです。
多くの経済学者や政治家が主張するように、「デフレが悪い」という誤った固定観念にとらわれてしまっていると理解しがたいのではないかと思いますが、私たちの所得が下落する以上に、先に物価が大幅な下落をすれば、人々の生活水準はむしろ上がるはずです。それは、物価が上昇する以上に、私たちの所得が上昇するのと同じ意味合いであると理解することができれば、すんなりとのみ込める考え方ではないでしょうか。
こんなことを書くと、大いに批判を受けることになるかもしれませんが、それでも正しいと思いますので、このほど出版された新刊『アメリカの世界戦略に乗って、日本経済は大復活する!』(東洋経済新報社)では、誰でも理解ができるように丁寧に解説しています。
私はかつて、「アメリカの住宅バブルが崩壊すれば、金融工学はまったく役に立たなくなる」と様々なメディアで述べたことがあります。その時は多くの方から「ノーベル賞に裏付けられた金融工学を批判するとは何事か」とお叱りを受けたことがありました。しかし、その後の経緯はみなさんもご存知のとおり、実際に役に立たなかったのです。
権威に対して反論を述べるのは、なかなか勇気がいるものです。反論を述べた後でも、ひょっとしたら自分は間違っているのではないかと、自問自答を繰り返すこともあるくらいです。しかしそれでも、「デフレが悪い」という考えは誤っていると思うのです。インフレと同じように、デフレにも「良いデフレ」と「悪いデフレ」があり、「良いデフレ」が人々の生活水準を向上させることは間違いではないのです。今後10年のアメリカ経済の大きな流れが、そのことを証明してくれるでしょう。
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