リニア「大阪開業8年前倒し」は本当に必要か

自己負担での計画を国が支援するのはアリ?

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国鉄時代のリニア実験車両ML100(撮影:尾形文繋)

ここで中央新幹線の成り立ちを確認しておく。

中央新幹線は、全国新幹線鉄道整備法(以下「全幹法」)に基づき1973(昭和48)年11月に基本計画が定められた。

全幹法の目的は、「高速輸送体系の形成が国土の総合的かつ普遍的開発に果たす役割の重要性にかんがみ、新幹線鉄道による全国的な鉄道網の整備を図り、もって国民経済の発展及び国民生活領域の拡大並びに地域の振興に資することを目的とする」とされている(第1条)。

この目的を達成するために、「国土交通大臣は、鉄道輸送の需要の動向、国土開発の重点的な方向その他の新幹線鉄道の効果的な整備を図るため必要な事項を考慮し、政令で定めるところにより、建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画を決定しなければならない」(第4条)とされている。新幹線鉄道はまさに国家の事業というべき存在である。

国が関与することに問題はない

中央新幹線もこの趣旨にのっとって基本計画が定められているが、全幹法第14条の2に基づく交通政策審議会中央新幹線小委員会答申ではリニア中央新幹線の意義が具体的に次の通り掲げられている(国交省HP)。

1:三大都市圏間の高速かつ安定的な旅客輸送を中長期的に維持・強化するものであり極めて重要。東日本大震災の経験により、大動脈の二重系化の重要性は更に高まっている。
2:三大都市圏以外の沿線地域においても、地域活性化方策とあいまって地域振興に寄与。
3:「ひかり」、「こだま」の増加により、東海道新幹線沿線都市群の再発展をもたらす可能性。
4:三大都市圏間が約1時間で直結され、国土構造の変革、国際競争力の向上をもたらす可能性。
5:我が国が独自に開発してきた高速鉄道技術を世界的に発信。

 

これを見ると、中央新幹線は全幹法の趣旨に合致し、沿線地域のみならず国全体への寄与が期待される新幹線鉄道であるといえる。国が中央新幹線に対して何らかの形で関与することは直ちに否定されるものではない。

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